我慢強さ、諦めない精神を養うために | ロサンゼルスの学習塾「優塾」の元塾頭のブログ

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カリフォルニア州において生徒数1位だった学習塾「優塾」の元塾頭による教育と子育てに関するコラム

先月、ノーベル賞受賞者が発表され、

日本(現在はアメリカ国籍ですが)からは

眞鍋叔郎さんが物理学賞を受賞しました。

 

1969年から始めた気象に関する研究が

今回のノーベル賞受賞の決め手になったとのことです。

なんでも40年間で研究費用として150億円を使ったとか。

気の遠くなるような期間と費用ですね。

 

2014年にノーベル賞を受賞した中村修二教授は

青色発光ダイオードの開発に10年以上の歳月をかけたそうです。

彼らのようにノーベル賞を受賞する方たちの研究・開発期間をみると、

10年20年は珍しくもありません。

その間にはきっと何万回もの失敗や試行錯誤があったことでしょう。

 

あの掃除機で有名なダイソンも、

社長が最初の紙パックレスの掃除機を作ってから

商品として世に出すまでに、

実に5127台もの試作機を作ったそうです。

途中にはお金が足りなくなって破産寸前までいったというのですから、

その根性には感嘆しますが、

試作機を毎回数えていたその執念もすごいですね。

ここまで来ると、失敗を楽しんでいたんじゃないかとさえ思えます。

 

今世界中で累計10億本以上売られている

擦ると消せる(フリクション)ボールペンは、

高温になると消えるインクが発見されてから、

それを商品として実用的にするまでに

30年近くの開発期間を要したそうです。

30年というと、新入社員で入ってすぐに研究を開始したとしても

成功したときは50歳以上です。

きっと企業にはこんな話がたくさんあるのでしょうね。

 

そう言えば、以前『プロジェクトx』という番組がありました。

あの番組で紹介された人で、

失敗を経験していない人はいませんでした。

番組のほとんどの時間、お金が尽きたり、人に騙されたり、

火事に遭ったりという失敗ばかりを紹介していました。

最後に大逆転で成功し、流れてくる中島みゆきの

エンディング・テーマに涙を流したお父さんも多いと思います。

 

その点、優塾は新しいクラスやイベントの構想を練るのはざっと30分。

実際やってみてちょっとダメだとわかると、さっさと止めてしまいます。

今までいくつもの企画がそうやって終わってきたので

大失敗はありませんが、それゆえにか大成功もありません。

「もっと失敗して『プロジェクトx』に出るぞー」

と思ってたら番組が先に終わってしまいました。

 

私の知り合いに、早くから成功していたのに26歳の時に

自分の会社で火事を起こし、

なんと6億8000万円もの借金を背負った人がいます。

しかし彼はそこから見事に復活し、

今はまた億万長者になっています。

彼も本当に諦めない精神の持ち主でした。

そんな彼の言葉を紹介します。

「私は人にものを頼んで、断られたことがないんです。

1回断られても諦めないから。

『100回断られたら諦めよう』と決めていますが、

今まで最高に断られたのが74回でした」。

 

これらの成功した人たちに共通して言えることは、

普通の人なら完全に諦めるような失敗でも諦めずに

チャレンジしているところです。

それを何回も何回も繰り返し、最後には成功を勝ち取っているのです。

 

やはり、物事を為すためには

それが研究であってもビジネスであっても、

失敗しても決して諦めず、

一つのことに集中して長い間取り組む必要があるのでしょう。

この人生においてもっとも大切な要素の一つ、

失敗しても諦めない気持ち、我慢強さ、忍耐力を養うには、

どうすればいいのでしょう。

 

 

その精神を養うのに最適なのが、勉強だと思うのです。

勉強は地味でつまらないことが多いです。

スポーツの練習、例えば野球の素振りや

サッカーのリフティングの練習などは地味であまり面白くありませんが、

それでも椅子に座って漢字を何回も書く、

英単語を覚える、計算をひたすらやるのに比べたら

はるかに派手でかっこよくて楽しそうです。

 

YouTubeに、リフティングの練習のビデオはあるでしょうが、

漢字の勉強をひたすらやっているビデオはありません。

(と思って調べたらあるじゃん…)

こんな失敗にめげてはいけません。

気を取り直して続きです。

 

誰だって何時間も椅子に座り、漢字を書いたり

計算したりすることなんか楽しくありません。

誰だって遊びたいです。

しかしその楽しくない勉強をすることによって

我慢強さが身につくのです。

 

そうやって一生懸命頑張って努力したのに、

報われないことが多いのも勉強です。

必死に努力してもテストで良い点数を取れなかったり、

合格できなかったりなんてことは日常茶飯事です。

その時です、人間の真価が発揮されるのは。

失敗して落ち込んで、

もうだめだと投げやりになるなんてのは最悪で、

失敗した時こそチャンスです。

それを肥やしにしてステップアップしていけばいいのです。

そうしたらそれは失敗じゃなくなり、

次に進むためのきっかけになります。

 

ゴルフの有名な名言で

「勝った試合からは何も得ないが、

負けた試合からは多くのものを得る」

がありますが、的を射ていると思います。

ただし、努力をしないで失敗するのは、

失敗ですらありません。

ただの怠慢です。

それでは何も得るものはありません。

 

ところで、勉強の対極にあるのがゲームです。

勉強やスポーツ、

音楽ならある程度のレベルに達するのに何年もかかるのに、

ゲームだったらどんなに難しいものでも、

1日1時間もやれば達人になるのに1年もかからないでしょう。

簡単なゲームでは3ヶ月もあれば十分です。

しかも、失敗してもリセットを押せばまた最初からできます。

我慢強さ、諦めない精神を養う上で

ゲームは百害あって一利なしです。

ゲームはやはり、やるにしてもほどほどにしましょう。

 

 

最後に、断られても諦めない関連で、

私の大学時代の友人の話を書きます。

その彼は大学4年生のとき

必修科目のファイナルで失敗してしまったため、

このままでは卒業できず留年してしまうと焦りました。

そこで、そのテストの結果が発表される前に、

高価なワインを持って教授の所に押しかけ、

「機械工学科4年の山田と言います。

この前のテストなんですが、なんとか合格にしてください。

これ、つまらないものですがお受け取りください」

とワインを差し出しました。

教授は、「なんだ君は! こんなもの受け取れるわけないだろ!」、

「そこをなんとか」、

「だめだ! 帰りたまえ!」、

「そこを…」と何回かの押し問答の末、

ワインを無理やり置いて逃げるように部屋を出たそうです。

結果、そのワインが決め手になったのかどうかはわかりませんが、

ぎりぎりのDで合格し大学を無事4年で卒業しました。

その不屈の精神で、いま彼は外資系の会社の

アジア地区総括の社長として活躍しています。

 

私はその不屈の精神がなかったため

大学を5年で卒業し

(まあ私の場合、ワインが10本くらい必要だったんですが)、

現在日本から遠く離れた地方の私塾の先生として奮闘しています。

 

ワイン1本でこの差。

我慢強さ、諦めない精神がいかに大切か

お分かりになったと思います。

 

以上、失敗しても諦めない精神を養うためには

勉強が最適だという話でした。