心の壁をなくしたい。 | izaura's blog

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歌うたい、izauraのブログです。
ボサノバ、ブラジル音楽、オリジナル、ジャズもすこし。
音楽で世界が繋がればいいなぁ。



少し時間がたってしましましたが、8月9日に中野ドリームという、重度障害の子供たちの為のデイサービス施設で演奏してまいりました。NPOスマイリングホスピタルジャパンの活動です。ギター板垣さんと共に。
今回は、はじめて12歳の息子も同行させました。(勿論、事前に確認してから)息子ははじめ、重度の障害をもつ子供たちがお部屋で横になっている姿をみて、「無理、見ていられない」と言い、外に出て行ってしまいました。私はすぐに彼を戒めたのですが、息子は体の不自由な、重度の障害をもつ同世代の子供に会うのは初めてだったのでしょう。その後、部屋にもどってきて、アシスタントさんとお話しつつ、傍で横になっているお兄さんをみていました。

私も言葉では、彼らとはコミュニケーションをとることは難しい。でも、言葉ではなく、音楽を共有することで、リラックスして楽しんでほしいなと思いつつ、歌いました。最初に、軽快なリズムの楽しいボサノバの歌から。何曲かやって、緩急をつけたいと思い、用意してきた絵本を読みました。「森の絵本」という絵本。その本は、詩人の長田弘さんの詩に、絵がつけられたもので、これはお話ではありませんが、言葉が美しいと思い、はじめて子供たちに読みました。「森へ ゆこう」その声は いいました。「いちばん だいじなものが 森のなかに ある。きみの いちばん たいせつなものが そこに ある」そんな言葉ではじまる、詩の絵本です。私の朗読に、ギター板垣さんは初めて聴くその絵本の言葉に、素敵な音色を即興で弾いてくれました。

中野ドリームさんでの活動は3回目でしたが、今回は打楽器は少なめで、ボサノバ、サンバ、オリジナル曲も数曲歌いました。最後はおなじみの「となりのトトロ」。
約45分の演奏が終わり、スタッフ(親御さん?)が、子供の表情が柔らかくなったと言ってくれました。私たち自身も演奏を通して元気をもらえました。息子も静かに(漫画をよみつつでしたが)子供たちの様子をみていました。後でスタッフさんの話を聴くと、息子は「この子は何ができるんだろう」「これはできるかな?」と気になっていたようです。

普段の生活では、重度の障害を持つ子供達と、触れ合う機会は殆どないのが現状です。病院や施設などしか行く場所がない、子供たち。体が不自由、自分の力では生活できない、意思の疎通が難しい、それだけで、とても狭い場所でしか生活することができない、子供たち。その子供達もいつか大人になります。

演奏後、息子に感想をきいてみたら「可哀そう。治す方法はないのかな?今の進歩した医学で。」と感じたそうです。「あの子たちは、何が楽しみだと思う?」と聞いたら、 息子は「生きる楽しみじゃない?」と言いました。人の楽しみや、幸せというのは、人それぞれの心で感じることなので、きっと私達にはわかない感じ方、世界の楽しみを知っているのかもしれないと思いました。

後で、中野ドリームさんの感想を拝見すると、「周りのフォローは必要ですが、子供たちを壁で隔てることなく、お互いに「知り合える」機会があるといいですね!」とのことでした。私達大人も、障害のある人にも、壁をつくることなく、普通に接して、人と人の交流ができるといいなぁと思います。
(写真は、中野ドリームさんのページから拝借しました)