財務省は今回の円安を常に投機筋のせいだと決めつけています。
理由は簡単で円安の原因を「国の衰退」と示唆してしまうことにより、
数十年もの長い年月にわたり国民に緊縮財政を無駄に押し付けてきた財務省の責任に
話が及ぶことを恐れているからです。
完全に、ただの自己保身です。
この「円安を投機筋のせいだと決めつける」思考は
一昨年の介入時にも見られました。ミスター円なる元財務相の人物がテレビ出演していた際に
日本の衰退に結びつきそうな会話の流れが起き始めただけで、語気を強め
多少怒りをにじませながらその会話の流れを否定していました。
とはいえ、国の衰退のせいで円安なのかというとそれだけではないと思います。
他の大きな要因は、多くの製造業(特に自動車)が海外に生産拠点を移したままだからだと思います。
本来なら円安になれば輸出量がそのままであっても輸出額が伸びます。
輸出額が伸びればその分円高圧力が増し、それによって円安が収まります。
では、彼らは日本に帰ってくるのか?
仕入れのコストを考えると円安だろうが円高だろうが価格が安定しているのであれば問題ないはずで
輸送費がかかる分現地生産のほうに分があるのではないかと思います。
貿易赤字が膨らむ国視点では円安が問題であっても、一企業の視点ではなんの問題もない。
為替云々で国内に戻る利点は無いと思います。
そして貿易赤字が膨らむと書きましたが、本当に膨らみ続けるのか?
というのも違うと思います。輸入のためには国内の需要が必要になります。
ところが、今日本で起きているスタグフレーション(デフレ圧力+コストプッシュインフレ)状況下では
輸入しても大して物が売れません。
そして、すでに輸入量の減少はすでに起きています。
2023年3月から確認しましたが4月以降ほぼ全月で輸入量が前年同月比マイナスとなっています。
失政によるデフレ圧力により
実質賃金の下落=国内需要減衰=輸入量減衰 → 減衰しすぎて輸入額も減衰
となっています。
輸出の方は海外の需要によりますので、
輸出量は一定 + 円安 = 円安分だけ輸出額増加
この状況で今年は貿易赤字がそれほど膨らまないのではないか?と思います。
今、世の中で危惧されているほどの円安が本当に進むのか? 多少疑問です。(短期間の円安はあるかも)
過度に円安が進めば,現状の国内に残っている製造業だけでも貿易赤字が黒字に転換する月も増えてきそうです。
(3月の統計である4月発表分は貿易黒字だったようです。 4月発表は黒になりやすい? だからここ数年3月は円高になりやすい?)