こんにちは~!
「漢方薬って安全なんですか?」の質問の回答として書いていたはずですが、脱線ばかりしてなかなかに記事が進まない・・・笑
さて、前回まで生薬の有効性や安全性についてお話ししてきましたが、今回はそれらの生薬を組み合わせた漢方薬についてのお話です。
様々な薬効の生薬がありますが、どれか1つの成分に絞った単一処方の漢方薬は存在しません。
(大量の人参を使った独参湯というのもありますが、これは例外です)
通常の処方は数種類を一定の割合で調合されます。
この組み合わせにより複数の有効成分が絡み合い、薬効が相乗的に増えたり逆に抑制されたりするのです。
古代中国の医家達で現代も名前が残っている方々はこの組み合わせを発見するのが抜群に上手かったのですね。
そして、この組み合わせも適当に効きそうな生薬を合わせている訳ではなく、君臣佐使の考えに基づいて配合されております。
古代中国は君主制ですから、このような考えがでてきたのでしょう。
君、つまり君主の役割を持つ生薬です。
病気を治す重要な生薬がこれに当たり、一つの処方に1~2種類くらい配合されます。
処方のトップなので、そんなに何種類もいれないのです。
次の臣、つまり君主の直近の部下である大臣ですね。
君主である君薬を助けると同時に下の者である佐薬や使薬を監督します。
三番目の佐、大臣の下ですから現代で言うと中間管理職でしょうか。
こう考えるとなかなか大変な立場ですね。笑
その通り、君薬の暴走を抑えるために敢えて反対の薬効を持ち、組織のバランスを図るという大変な役目を負わされています。
また、君薬の効能を補う役割も同時にこなさないとなりません。
一番下の使、中間管理職のしたですから一般の役人ですかね。
要するに「現場の人」に当たります。
実際に病巣部位の現場に行かされるのは、この使薬です。
それだけでなく、各生薬の調和という調整役もさせられます。
この君臣佐使を実際の処方で考えてみましょう。
わかりやすく、シンプルな麻黄湯で説明してみます。(ちょうど、4種類ですし)
麻黄(君薬)・・・発汗作用、止咳作用
桂枝(臣薬)・・・麻黄と合すことで発汗作用が増強
杏仁(佐薬)・・・麻黄の止咳作用を補佐
甘草(使薬)・・・各種の生薬を調和する
きれいにピッタリ当てはまりましたね。
これは君薬の麻黄だけを飲んでも、思ったような成果はあがりません。
また、「なんの薬効もないから・・・」と甘草を抜いたら、発汗し過ぎで津液がなくなり、却って体力を消耗してしまいます。
このように、漢方薬の処方は各生薬の相互作用により、効果を高くし副作用を抑えるように工夫されているのです。
長くなりました・・・
次回に続きます。
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