今回掲載するのは、

まどみちおさんの『ぼくがここに』。

 

わたしがわたしであること

あなたがあなたであること

それぞれの〈存在スペース〉が

かけがえのないこととして

平等に与えられているのだなと

感謝の思いを込めて。

 

さあ、今日もわたしはわたしを生きていこう。

 

 

『ぼくが ここに』
                まど・みちお

ぼくが ここに いるとき
ほかの どんなものも
ぼくに かさなって
こに いることは できない

もしも ゾウが ここに いるならば
そのゾウだけ

マメが いるならば
その一つぶの マメだけ
しか ここに いることは できない

ああ このちきゅうの うえでは
こんなに だいじに
まもられているのだ
どんなものが どんなところに
いるときにも

その「いること」こそが
なににも まして
すばらしいこと として