死者ハッチ判事からの手紙3
死者ハッチ判事からの手紙3「生きている死者からの手紙 4」(1914年の出版、ノンフィクション) エルザ・バーカーによる記録 金澤竹哲・訳序文(3) ある時は、手紙は私の友人がいるときに書かれたが、その後は、私がいつもひとりのときに「X」氏が来るようになった。私はパリとロンドンの間を行き来していたので、手紙はこのふたつの都市で書かれた。時には週に数回の訪問があり、時には一か月も彼を感じないこともあった。私のほうから彼を呼び出すことはなく、訪問以外の時に彼のことを考えることもなかった。大半の時間、私のペンと思考は他の事柄で埋められていた。 たった一度だけ、自動書記が始まる前に、手紙の内容がいくぶんか分かったことがあった。ある夜、鉛筆を持つと「Xさん」が何を書こうとしているか分かったのだ。だがこの出来事は覚えているのだが、どの手紙がそれだったか忘れてしまった。 手紙を書いている間、私はたいてい半覚醒状態で、後でメッセージを読み返すまでは、ぼんやりとした内容しかわからなかった。2、3の例では、無意識に近い状態で鉛筆をとり、何を書いているのか分からなかったが、これはしょっちゅう起きたわけではない。 この手紙が、私の序文付きで出版されるべきだと最初に言われた時は気乗りがしなかった。数冊の本の著者であり、多少なりとも知られていたので、文学的評判に少しは誇りを持っていたからだ。私は変人、「気違い」だと見られたくなかった。だが、私は前書きを書くことに同意し、手紙は私の目の前で自動書記で書かれたこと、それは完璧な事実ではないけれども、真実であると説明した。私の友人は満足したが、時が経つにつれて、私が不満を覚えるようになった。そういう説明は誠実ではなかった。