2013年も残り僅かとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
心もせわしい年の暮れ、この一年の出来事が夢のように過ぎ去って行くよう。
その中の1つがスペインのアーティスト、ホセ・マリア・シシリア氏 と過ごした時間です。
2011年6月、シシリア氏は津波によって多くの人たちが
自分たちのスペースから追い出されたことを知り、
実際に自分の目で状況を確かめよう来日しました。
東北をまわったシシリア氏はその後も2012年、2013年と来日し、
被災地の子どもたちを中心にその体験や思い出を
芸術的に表現させるワークショップを精力的に行っています。
私達がシシリア氏と共に取り組んだこのワークショプは、
「日本スペイン交流400周年」の一環として福島県立美術館で開催された
「ホセ・マリア・シシリア 福島・冬の花」展として実を結びました。
現代のスペインアートシーンを代表するシシリア氏ですが、
お手伝いをしている私達はついそのことを忘れ、いつも笑顔が絶えません。
そして、シシリア氏と一緒に絵や粘土の作品を制作した子ども達も、
ワークショップを終えると「楽しかったぁ!」と笑顔が溢れます。
そうさせるのは、シシリア氏の純粋な心から発せられる優しさ、美しさ。
福島の地元の方々に捧げる今回の「福島・冬の花」展の作品からも伝わってくる、
その純粋な優しさ、美しさに、知らず知らずのうちに心癒されていることに気付きます。
シシリア氏と子ども達との共同制作の中で感じたのは、
純粋な心で感じて受け止める力、考えて理解する力、表現して伝える力の大切さ。
今回の展覧会を終えて、「私の作品はまだ完成していない」
2011年3月の悲劇を生き延びた人たちのあらゆる苦悩とともに、
「発展し続ける」のだと話すシシリア氏。
現在、次回の展覧会へ向け、継続したワークショップの準備を進めています。
ある時のシシリア氏の言葉がとても心に響きました。
存在するとは、生から死へ、「その間にあるもの」
「我々がどこにいるのか」ということは、「我々が何者なのか」ということより大切だ。
私達は、○○でも○○でもホセ・マリアでもなかった。
私達は綿々と続く道の一部… 中略 …冒険は続く。
何者なのかより、何処にいるのかが大切なのであれば、
何者でもない私が、今、此処にいて出来ることを… と、思います。
この素晴らしい出会いに感謝しながら、新しい年、これからも続く冒険を楽しみに!
薔薇 K.Tada