「私は日本語がわかると思っていたんですが、最近相手が何を言っているのか解らないことが沢山あります。」

 

日本語を教えているベトナム人が、そんなことを言い始めた。

 

「そんなことはないです。とても上手ですよ。」

 

実際、私と話をしている分には、日本語能力が上達こそすれ、低下しているとは決して思えない。

 

「例えば、どんな言葉?」

 

 

「例えば、『そうでねぇ』 とか、『いぐが』 とか、『やっぺ』 とか。」

 

あ~

 

方言か~。

 

いわきに住む外国人は、標準語の他にいわき弁も覚えなければ、日常生活に支障が生じるのか。

 

せっかく覚えた日本語が、ある日を境に急に聞き取れなくなる。

 

そりゃあ、パニックになるわね。

 

 

でも、

 

「それはある意味一歩前進した証拠だと思うのよ。」

 

職場の同僚が、彼を仲間だと認めた証拠なのだと言って慰めた。

 

とは言え、それは実に気の毒だ。

 

私も、時々はいわき弁を交えながら教えた方が良いかな?