「女将さん、とうとう金魚が死んじゃったんですね。」
「えっ、みんな元気だけど?」
「でも、黒い模様が入った金魚がいませんよ。」
あー、1つだとどうしても息苦しそうだったので、2つに分けたの。
「そうだったんですか。ところで可愛いでしょう、金魚って。」
うん、可愛いね。
用事も無いのに、金魚鉢の前に立ち、じーっと見ていることもある。
名前はつけてないけどね。
だって、黒模様の一匹を除いて皆そっくりで、どれがどれだか全く判断できないもの。
「良いんですよ、名前なんか、金魚は金魚で。」
そういうものなんですか、金魚って。