被災後初めて実家のある久ノ浜を訪れた。


ここは、地震津波に加え、火災までも併発し、町の半分が無くなってしまったと聞いている。


知人や幼なじみの家が無くなってしまったことも知っている。


今日までに何度か久ノ浜訪問の機会があったにも拘わらず、積極的に訪れたいとは思っていなかった。


どうしよう、どうしよう、決心が付かないままここまできた。


しかし、ふるさとの方が体験し、しかもその惨状が未だほとんど手をつけられないままであると聞けば、やはり一度は見ておかなければならないような気がした。


やはり訪れることに消極的だった主人を伴い、二人で出かけた。


町の入口付近には、11日の地震以来止まったままになっている電車。


あり得ないところに放置されている車。


そして、もはや家だった形跡すら感じられない木っ端の山。


辛うじて、主道だけは片付けが済んでいたが、それもごく最近のことらしい。


そんな悲惨な有様を車の窓から眺めていては、申し訳ないような気がした。


やがて、昔私達家族が住んでいた場所に着いた。


そこまで波がきていた。


感慨無量である。


「ひどいね。」


それ以外の言葉が見つからない。


その町は、福島原発から30kmを僅かにはずれたところにある。


しかし、もちろんボランティアの方の姿はない。


それどころか、後片付けの重機もほんの2~3台動いているだけで、人の姿もほとんど目にしなかった。


原発問題が好転しなければ、この町は生き返らない。


そんな思いを強く感じながら帰途に着いた。