車を運転していて、前方から大型車がやってきたとする。
なぜか引きこまれそうなきがして、途端に気が引き締まる。
「捲きこまれてはいけないぞ。」
ハンドルを持つ手にそう言いきかせる。
大型車を気にしながら、心なしか左手に力が入る。
すれ違った途端、ふーっとため息。
今日も無事だった。
人混みの中を歩く時、対面者の顔を見るとすーと引き寄せられるような気がする。
ややもすると、その人とぶつかってしまいそうにすらなる。
人間は視線を向けた方向に向かって行く習性がある。
そう聞いてから、出来るだけ視線を真っ直ぐ前に向けて通り過ぎるようにしている。
やがて、道で知人に会う機会が減ってきた。
机の上に、黒い陶器製の招き猫が置いてあった。
主人が頂いてきた物で、なかなか可愛い。
主人も気に入ったとみえ、さっそく台を作り、その上にちょこんと鎮座していた。
気になって仕方がない。
壊してはいけないぞ。
気をつけなくちゃ。
落としてしまった。
・・・・・・
これも注意をしすぎたあまりの不祥事と許してもらえるだろうか。
とにかく、ゴメンね。