何事によらず、その瞬間を「今だ!」と感じることはそうそう多くはない。


例えば、眠りに襲われた瞬間。


講義などを受講していて、急激に睡魔に襲われるというようなことはあっても、その境目はいつも曖昧であった。


ところが先日、その瞬間をハッキリと自覚出来た。


会の進行についての長い説明の後、いよいよ本題に入り、招待客の方の挨拶が始まった、その時、突然それがやってきた。


「あっ、今眠くなった。」


そう感じたのである。


その前後の感覚が余りにも急激に変化した。


まるで、突然の雨雲が頭の中に発生したかのよう。


その瞬間、その挨拶者のマイクに何か仕掛けられているのではないかと思った。

例えば、マイクを通して睡眠剤をばらまかれたか、もしくは催眠術でもかけられたかのような気分だった。


危ない、このままではまんまとその罠にはまってしまう。

どうしよう。


そんなことを考えている時、ふと隣を見ると、そこにはすっかりその術にはまってしまい、体が45度に傾いている人がいた。


助かった。

その人を観察していれば、眠りに落ちることはないだろう。


そうして、辛くも居眠りから脱出することができた出来た。


後で聞いたところ、その会ではだいぶ多くの人が早々と睡魔に襲われていたらしい。


今でも思う。


確かにあのマイクには何かが仕掛けられていたか、挨拶の中に、眠りを誘うキーワードが隠されていたと。