娘と2人、久しぶりに本格的ショッピングにお出かけした。

目指すは、「大洗アウトレット」。


途中、幾多のトンネルを有する高速道路を走らなければならない。


当然私が運転するとばかり思っていたが、あに図らんや、運転歴1年ちょっとの娘が運転したいと言い出した。


ここ数ヶ月の間に、めきめきと高速運転に自信を持った私としては、多少不安な気持ちはあったが、


「たまには私も運転しないとね。」

との娘の言葉に、その栄誉を譲ることにした。


到着後、

「ああ、怖かった。緊張の余り、頭痛が起きちゃった。」


そう言う娘に、帰りは何が何でも私が運転しようと心に誓う。


久しぶりのお買い物に時を忘れ、肝心の高速道路にさしかかった頃は、すっかり日が暮れてしまった。


何を隠そう、夜の高速道路の運転は、初めての経験であった。

「こんなに白線が見えなくても良いのか?カーブがよくわからないよ。」

そう思いながらも、それを悟られまいと、無理して歌を口ずさむ。


それにしてもトラックの多いこと。

ゆっくり行こうか、いやいや、主人には遅くても8時までには帰ると言ってしまった。

急がないと。


あっ、トンネルだ。

前をトラックが走っている。

遅い。

抜こうか。

怖い。

でも時間が。

やはり抜いてしまおう。


そっと追い越し車線に路線をかえる。

わあ、怖い。

どうしよう、抜こうか、止めようか。


「お母さん、後ろに車がピッタリ付いてるよ。」


「知ってる。でも後続車の事なんか見てる暇がないの。」


「抜くの?抜かないの?」


「抜くけど、抜けないの。」


そう言いながら、暫しトラックと併走。

意を決して、抜きにかかる。


「あれっ?トラックってこんなに長かった?なかなか抜けない。止めようか、いや、今さら止められない。でも。」


やっと抜いた。

ホットしたのも束の間、私の態度にムッとしたのか、直ぐに抜き返されてしまい、再び振り出しに戻る。


その時、ふと「死ぬかもしれない。」と思った。


手のひらにはじっとりと汗が。

汗どころか、左手がしびれてきた。


娘も頭痛どころではない様子。


またトンネルだ。トラックだ。時間がない。


抜こうか止めようか。


その繰り返しで、精も根も尽き果てた頃、やっと到着。


8時1分前だった。


高速道路に自信がついたと思ったのは錯覚だったかも。