ゴールデンウィークの期間に重なるように、2週にわたって小津安二郎の代表作を上映していた岐阜・柳ケ瀬のロイヤル劇場。こちらの企画上映はスルーしましたが、休み明けの「生誕100年 宮尾登美子 文学映画化特集」にはJR東海の「さわやかウォーキング」で一宮に出掛けた後、足を伸ばして山下耕作監督の『夜汽車』を見ました。

 

ひとりの男(萩原健一)を挟んでの姉妹ふたり(十朱幸代、秋吉久美子)の愛憎を中心に、三人を囲む人々の葛藤や対立を時代のうねりの中に描きます。宮尾登美子原作の短篇小説「夜汽車」「岩伍覚え書」をもとに松田寛夫と長田紀生が脚本を共同執筆。撮影は木村大作が担当しています。劇場はロイヤル劇場(料金は一律600円)。

 

夜汽車 映画

 

昭和10年の秋、高知行きの夜汽車に揺られる岡崎露子(十朱幸代)。彼女が13歳の時、母親は妹の里子を産んで死に、やくざな父親は露子を高知一の料亭“山海楼”に売りとばし、その金を酒と博奕に使い果たしたあげく野垂れ死にする。露子は泣く泣く里子を人手に渡し、その養育費を稼ぐために芸妓として各地を転々としていた。あし

 

16年ぶりに故郷に帰って来た露子は、17歳の女学生に成長した里子(秋吉久美子)と再会する。山海楼に腰を落ち着けた露子は、夜汽車で乗り合わせた田村征彦(萩原健一)と偶然に再会して愛し合うようになる。征彦は高知のやくざ一家の息子だが、大陸に渡って夢を叶えるべく父親の律三郎(丹波哲郎)とは別の世界で生きていた。

 

そんな折、里子が突然に喀血をする。結核と診断された里子の入院費用の工面のため行動した征彦は刺客に狙われ、逆にその刺客を斬ったことで刑務所に収監されてしまう。里子をサナトリウムに入院させた露子は、再び借金を背負う身となって日本各地を転々とする。その3年の歳月の間に、征彦と里子は男女の仲になってしまう…。

 

夜汽車 映画

 

高知に戻った露子はその現実に大きく傷つきますが、やがて地元の銀行の頭取・溝上(津川雅彦)の囲われ者となり、高級カフェを開く身に。一方、征彦は父親・伊三郎が対立する百鬼一家の用心棒・梵天の信次(小林稔侍)に暗殺されたことで、田村組を継ぐ決意をし、高知で初の曲芸飛行機の大興行に打って出るのですが…。あせる

 

田村組を継いだ征彦は、露子のカフェを訪れ、溝上の力を借りたいと土下座します。溝上の資金力と後循を得て、征彦は曲芸飛行機の興行を見事にスタートさせますが、ねたんだ百鬼一家に興行初日の夜、飛行機を爆破されてしまう。さらに露子と征彦の仲を知った溝上は、征彦に出入り禁止を言い渡す。暗転していく終盤の展開です。

 

劇場ではもちろんテレビ放映や配信でも見ていなかった作品。運命に翻弄されるように身を転じるヒロインを捉える映像に、いかにも木村大作が撮っているという“絵力”を感じました。また、主演の十朱幸代と秋吉久美子の他にも、萬田久子、白都真理、速水典子ら、私と同世代の女優陣が次々と登場するのは嬉しかったですね~。

 

出演の女優陣が“百花繚乱”のように魅力を振りまく中で、気になったのは高知のやくざの組の二代目となる萩原健一の“ぼんぼん”ぶりでしょうか。あらためて萩原健一という俳優を思い返すと、あえて“カッコよくない”姿を見せてしまう人物を演じ続けていた印象があります。若い時代にアイドル的に扱われた反動かもしれません。パー

 

(1987年、監督/山下耕作、脚本/松田寛夫、長田紀生、原作/宮尾登美子、撮影/木村大作、録音/平井清重、照明/増田悦章、編集/玉木濬夫、音楽/津島利章

夜汽車 映画

 


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