4月に伏見ミリオン座で見た新作映画2本です。1本目の映画『プリシラ』は、エルヴィス・プレスリーの元妻プリシラが1985年に発表した回想録「私のエルヴィス」をもとに、世界的スターと恋に落ちた少女の波乱の日々を描いたドラマ。メガホンを取ったのは『マリー・アントワネット』『ブリングリング』のソフィア・コッポラ。
2本目の映画『ゴッドランド GODLAND』は、デンマーク統治下にあった19世紀後半のアイスランドを舞台に、布教の旅に出た若きデンマーク人牧師の過酷な旅路を描くと共に、かの地で繰り広げられる異文化の衝突をスリリングに描いた人間ドラマ。劇場は伏見ミリオン座（シニア会員1,200円と、10ポイント獲得の無料鑑賞）。
以下は映画『プリシラ』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。
スーパースターと恋に落ちたプリシラの魅惑の日々――。
14歳のプリシラは、世界が憧れるスーパースター（エルヴィス）と出会い、恋に落ちる。彼の特別になるという夢のような現実…。やがて彼女は両親の反対を押し切って、大邸宅で一緒に暮らし始める。魅惑的な別世界に足を踏み入れたプリシラにとって、彼の色に染まり、そばにいることが彼女のすべてだったが…。
1935年生まれのエルヴィス・プレスリーは、1950年代にはすでにアメリカを代表する人気スターとなっています。それでも当時のアメリカの徴兵制度に従い、2年の徴兵期間を西ドイツの地で過ごします。その地でアメリカ軍における上官の娘であるプリシラと出会う。1959年のパーティ会場で出会った時、プリシラは14歳です。
この年齢で相手は10歳年上の大人の男性、しかもスーパースターのエルヴィス・プレスリーです。恋に落ちるというより憧れで接している感じですが、当のエルヴィスは本気でモーションをかけてくる。エルヴィスは未成年であった彼女をメンフィスに呼び寄せて自身の父親の家に同居させ、カトリック系の有名女子高を卒業させることを彼女の両親に約束します。身の入らぬ学業とエルヴィスを“待つ身”のプリシラです。
とはいえ、これまで経験したことのない華やかで魅惑的な世界に足を踏み入れたプリシラ。求められるのはエルヴィスのそばで共に過ごし、彼の望む“色”に染まることです。この映画は、エルヴィスの影響下から自立していくプリシラのドラマですが、製作に彼女の名もありますから、プリシラにとって“悪い話”にはなりません…。
（2023年、監督・脚本／ソフィア・コッポラ、撮影／フィリップ・ル・スール、美術／タマラ・デヴェレル、衣装／ステイシー・バタット、編集／サラ・フラック）
以下は映画『ゴッドランド GODLAND』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。
若きデンマーク人のルーカス（エリオット・クロセット・ホーブ）が、命を受け植民地アイスランドへ向かう。任務は、辺境の村に教会を建てること。しかし目的地は遠く、旅は想像を絶する厳しさだった。デンマーク嫌いでアイスランド人の年老いたガイド・ラグナルとは対立し、さらに予期せぬアクシデントに見舞われたルーカスは、やがて狂気の淵に落ちていく。瀕死の状態で村にたどり着くが…… 
映画の舞台は19世紀の後半という設定です。デンマークの若き牧師ルーカスは、植民地アイスランドの辺境の村に教会を建てるため布教の旅に出ます。アイスランドの浜辺からあえて馬に乗って遥か遠い目的地を目指しますが、その道程は想像を絶する厳しいものだった。デンマークを嫌うガイドの老人ラグナルと対立する中、思わぬアクシデンを招き、ルーカスは瀕死の状態でようやく村にたどり着くことになる…。
体が癒えて教会の建設を進める一方で、地元の支援者の娘と次第に心を通わせるようになるルーカス。しかし、支配関係にある土地での文化や信仰には異質なものがあるようで、そのわだかまりは解消されることなく、作品はエンディングを迎えます。
コミュニケーションの断絶や異文化との衝突など、現代にもなお通じるテーマを内包した作品です。ドラマとしての展開にも驚かされましたが、広大な荒野や轟音と共に落ちる滝、氷河に閉ざされた湖など、背景として描かれる自然描写が圧倒的です。
（2022年、監督・脚本／フリーヌル・パルマソン、撮影／マリア・フォン・ハウスボルフ、衣装／ニーナ・グロンランド、編集／ユリウス・クレブス・ダムスボ）
