瞳をとじて

『瞳をとじて』公式サイト

 

『ミツバチのささやき』『エル・スール』などで知られるスペインの巨匠ビクトル・エリセが31年ぶりに長編映画のメガホンを取った新作映画『瞳をとじて』。元映画監督と失踪した人気俳優の記憶をめぐって繰り広げられるミステリアスなドラマです。


『コンペティション』のマノロ・ソロが映画監督のミゲルを、『ロスト・ボディ』のホセ・コロナドが失踪した俳優フリオを演じています。半世紀前に『ミツバチのささやき』で当時5歳にして主演を務めたアナ・トレントがフリオの娘アナ役で出演しているのも話題になっています。劇場は伏見ミリオン座(シニア会員1,200円)。グッド!
 

瞳をとじて 瞳をとじて

 

以下は映画『瞳をとじて』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。

 

映画『別れのまなざし』の撮影中に主演俳優フリオ・アレナスが失踪した。当時、警察は近くの崖に靴が揃えられていたことから投身自殺だと断定するも、結局遺体は上がってこなかった。それから22年、元映画監督でありフリオの親友でもあったミゲルはかつての人気俳優失踪事件の謎を追うTV番組から証言者として出演依頼を受ける。

 

取材協力するミゲルだったが次第にフリオと過ごした青春時代を、そして自らの半生を追想していく。そして番組終了後、一通の思わぬ情報が寄せられた。――「海辺の施設でフリオによく似た男を知っている」 目

 

瞳をとじて 瞳をとじて

 

映画監督ミゲルがメガホンを取る映画の撮影中に、主演俳優のフリオ・アレナスが突然の失踪を遂げた。それから22年が過ぎたある日、ミゲルのもとに、かつての人気俳優の失踪事件の謎を追うテレビ番組から出演依頼が舞い込むという設定です。DASH!

 

今は映画を制作する世界から遠く離れた生活を送るミゲルですが、取材への協力を決めカメラの前に踏み出します。それは、親友でもあったフリオと過ごした青春時代や自らの半生を追想していくことでもあります。やがて番組終了後、フリオに似た男が海辺の施設にいるとの情報が寄せられたことで、ドラマは新たな展開を迎えます。

 

瞳をとじて

 

日本では1980年代になってアート系のミニシアターで公開でされた『ミツバチのささやき』ですが、その製作年は1973年です。それから半世紀を経ての4本目の長編監督作品、3作目のドキュメンタリー映画『マルメロの陽光』(1992年)からは31年が経過しています。寡作の映画監督であると同時に、揺るぎのない映像作家のようです。

 

私が見ているビクトル・エリセ監督の過去作品は『ミツバチのささやき』と『エル・スール』(1982年)の2本ですが、詩情豊かに綴られるワンシーン・ワンカットの映像世界は、本編にも引き継がれています。上記の2作品はスペインの現代史を背景にした“含み”のある世界でしたから、それに比べると本編はすんなりと鑑賞しやすい。

 

私が見たエリセ3作品に共通しているのは、印象的な“少女”の映像。それと何より、「映画」そのものを重要なキーとして作品で取り上げていることです。今回の『瞳をとじて』では、完成された作品ではなく“未完”のフィルムであっても、見る者に大きな影響を与えるのではないか…。その期待を抱いてのエンディングは見事です。パー

 

(2023年、監督・脚本/ビクトル・エリセ、脚本/ミシェル・ガスタンビデ、撮影/バレンティン・アルバレス、美術/クルル・ガラバル、音楽/フェデリコ・フシド)

瞳をとじて

 


にほんブログ