2月にスクリーン鑑賞の作品の2本立て記事です。1本目の映画『ストップ・メイキング・センス  4Kレストア』は、1980年代の音楽シーンに変革をもたらしたアメリカのロックバンド「トーキング・ヘッズ」が1983年に行った伝説のライブを記録したドキュメンタリーの4Kレストア版。センチュリーシネマ(シニア会員1,200円)。
 

2本目の映画『エル・スール』は、『ミツバチのささやき』のビクトル・エリセ監督が同作から10年を経た1983年に発表した長編監督第2作。今年2月、エリセ監督の31年ぶりの長編新作『瞳をとじて』が公開されることに合わせ、『ミツバチのささやき』ともどもリバイバル上映されました。伏見ミリオン座(シニア会員1,200円)。グッド!

 

ストップ・メイキング・センス

『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』公式サイト

 

以下は映画『ストップ・メイキング・センス  4Kレストア』公式サイトに記載の作品紹介の文章(一部)です。

 

トーキング・ヘッズの伝説とも言われる、1983年12月ハリウッド・パンテージ・シアターでのライブ。デイヴィッド・バーンらによる躍動感溢れるパフォーマンスに、能楽からインスピレーションを得たというシンボリックな「ビッグスーツ」、エキセントリックなダンスとエキサイティングな演出が加わった、史上最高と称される圧巻の舞台だ。クラッカー

 

1992年から人知れず眠っていた本作のネガを執念で探し出し、サウンドはジェリー・ハリスン自ら監修した完全リマスター。収録から40年を経ても全く色褪せないこの最高級エンターテインメントを、A24が4Kレストア版でスクリーンに復活させた!!

 

ストップ・メイキング・センス

 

キャリア絶頂期にいた彼らが全米ツアー中の1983年12月にハリウッドのパンテージ・シアターで敢行したライブの模様を収録したドキュメンタリー作品。当時は音楽にさほどの興味もなかった私ですから、当然のことながら本編は完全に初見です。ドンッ

 

この40年前のライブ映像を今回スクリーンで見ようと決めた理由は、後に『羊たちの沈黙』でアカデミー賞を受賞するジョナサン・デミが監督を務め、『ブレードランナー』のジョーダン・クローネンウェスが撮影を担当しているというのも一因です。

 

さらにそれ以上の動機づけとなっているのが、デイヴィッド・バーンの圧倒的な音楽パフォーマンスが話題になった『アメリカン・ユートピア』(2020年)を見ていたがためかもしれません。バーンの躍動感あふれるパフォーマンスと演出は、この1980年代の作品でも大いに見ごたえがあり、“ユートピアの原点”の惹句にも納得です。パー

 

(1984年、監督・脚本/ジョナサン・デミ、脚本・出演/トーキング・ヘッズ、撮影/ジョーダン・クローネンウェス、舞台構想/デイヴィッド・バーン)

ストップ・メイキング・センス

 

 

 

                                  

 

エル・スール

 

8歳のエストレリャは生まれ故郷のアンダルシアを捨てて生きる父親(オメロ・アントヌッティ)を慕っていた。振り子を使って水脈を見つける父親は、青春の日々を過ごした“南”(=エル・スール)のことを周囲に語ることはない。エストレリャは成長と共に、父親が内面に秘めている出来事や感情を推し測るようになりますが…。目

 

そして1957年、ある秋の日の朝。15歳になったエストレリャは、自分の枕の下に父親の愛用していた振り子が置かれているのを見つけ、父がもう帰ってこないことを予感します。映画の仕立てとしては、そこから彼女と父親が一緒に過ごした日々への回想という展開です。家族の過去にはスペインにおける内戦などの影響も窺わせます。

 

エル・スール

 

15歳にして父親を失うことになる少女エストレリャですが、彼女の父親を慕う気持ちが実に繊細なタッチで綴られます。思春期の娘とのコミュニケーションに悩んだことのあるオヤジ世代としては、これは現代の日本では成り立たない父と娘のドラマだと思いますが…(笑)。さらに、彼女は父親にはいまだに未練を残す“想い人”がいることを知ります。このあたりの父親の屈折した人物造形は、意外に尾を引きます。

 

この作品は7年ほど前に、世界の名作を上映する企画「the アートシアター」の第1弾として名古屋シネマテークで鑑賞しています。その際のブログ記事に“睡魔”がやって来た映画と書いていますから、寝落ちはしなかったと思いますが、かなり危ない状態だったと思います。そういえば今回の鑑賞も“睡魔”は近くにいた気がします。パー

 

(1983年、監督・脚本/ビクトル・エリセ、原作/アデライダ・ガルシア・モラレス、撮影/ホセ・ルイス・アルカイネ、美術/アントニオ・ベリソン)

エル・スール

 


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