1月に伏見ミリオン座で見た2本の新作映画です。1本目の映画『哀れなるものたち』は、『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再びタッグを組み、スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化した作品。第80回ヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞しています。

 

2本目の映画『コット、はじまりの夏』は、1980年代初頭のアイルランドを舞台に、9歳の少女が過ごす特別な夏休みを描いたヒューマンドラマ。これまでドキュメンタリー作品を中心に子どもの視点や家族の絆を描いてきたコルム・バレードの長編劇映画の脚本・初監督作品です。劇場は伏見ミリオン座(シニア会員1,100円×2)。グッド!

 

哀れなるものたち

『哀れなるものたち』公式サイト

 

以下は映画『哀れなるものたち』の宣伝チラシに記載の紹介ストーリーです。

 

自ら命を絶った不幸な若き女性ベラは、天才外科医ゴッドウィン(ウィレム・デフォー)の手によって、奇跡的に蘇生する。ゴッドウィンの庇護のもと日に日に回復するベラだったが、「世界を自分の目で見たい」という強い欲望に駆られ、放蕩者の弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)の誘惑で、ヨーロッパ横断の旅に出る。

 

急速に、貪欲に世界を吸収していくベラ(エマ・ストーン)は、やがて時代の偏見から解き放たれ、自分の力で真の自由と平等とを見つけていく。そんな中、ある報せを受け取ったベラは帰郷を決意するのだが――。グー

 

哀れなるものたち

 

ベラとダンカンは船に乗り、リスボンやエジプトのアレクサンドリアなどを訪れる。そこで彼女は新たな世界に触れて、日々成長を重ねていくのですが、何の制約も受けることのない無垢な魂の女性が、性的にも驚くほどに発展を遂げていくのです…。あせる

この映画が日本公開に際して「R18+」指定になっているのは、予告編ではまったく理解できませんでしたが、本編を見ればエマ・ストーンの過激なSEXシーンが随分と織り込まれていて、その指定もやむ無しかという印象です。ゼロの状態から出発した無垢な主人公が、自らの意志で運命を切り拓いていく“成長”と“冒険”の物語です。

 

本編のプロデューサーも務めるエマ・ストーンは、純粋無垢で自由奔放な主人公ベラを熱演しています。個人的には天才外科医ゴッドウィンを演じるウィレム・デフォーの屈折した“愛情”が印象強く残ります。アカデミー賞ではクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』に次ぐ、11部門のノミネートですが、果たして…。パー

 

(2023年、監督/ヨルゴス・ランティモス、脚本/トニー・マクナマラ、原作/アラスター・グレイ、撮影/ロビー・ライアン、編集/ヨルゴス・モブロプサリディス)

哀れなるものたち

 

 

 

                                  

 

コット、はじまりの夏

『コット、はじまりの夏』公式サイト

 

以下は映画『コット、はじまりの夏』公式サイトに記載の紹介ストーリー(一部)です。

 

1981年、アイルランドの田舎町。大家族の中でひとり静かに暮らす9歳の少女コット(キャサリン・クリンチ)は、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを遠い親戚夫婦のキンセラ家のもとで過ごすことに。DASH!


寡黙なコットを優しく迎え入れるアイリンに髪を梳かしてもらったり、口下手で不器用ながら妻・アイリンを気遣うショーンと子牛の世話を手伝ったり、2人の温かな愛情をたっぷりと受け、一つひとつの生活を丁寧に過ごしていくうち、はじめは戸惑っていたコットの心境にも変化が訪れる。――

 

コット、はじまりの夏

 

豊かな自然に囲まれたアイルランドの田舎町を舞台にしていて、ドラマの時代設定はその映像だけでは判断できません。コットの家の大家族の貧しさみたいなものを見ると「戦後」の話かと思うような作品ですが、チラシなどによれば本編で描かれているのは1981年のこと。コットが家族のもとを離れて経験する“ひと夏”の物語です。ヒマワリ

 

コットをやさしく受け入れるのはショーンとアイリンの夫婦。緑豊かな農場での暮らしに、今まで経験したことのなかった生きる喜びに包まれ、自分の居場所を見出すコット。最初は自分の気持ちを伝える言葉を発することもできなかった彼女ですが、2人のやさしさに包まれて本当の家族のようにかけがえのない時間を過ごしますが…。

 

作品の見どころは、ドラマの背景となるアイルランドの田園風景の美しさ。それと主人公コットを演じるキャサリン・クリンチの繊細な佇まいの存在感でしょうか。アイルランドを舞台にした映画といえば、すぐにジョン・フォード監督の『静かなる男』(The Quiet Man)を思い出しますが、本編の英題は「The Quiet Girl」です。パー

 

(2022年、監督・脚本/コルム・バレード、原作/クレア・キーガン、撮影/ケイト・マッカラ、編集/ジョン・マーフィ、音楽/スティーブン・レニックス)

コット、はじまりの夏

 


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