1月の中旬から4週連続で岐阜・柳ケ瀬に“プチ遠征”して、ロイヤル劇場の上映作品を見ました。最初の2週は「芦川いづみ デビュー70周年記念上映」の2本、その後の2週は「加藤泰監督特集」の2本です。1年間有効の回数券10回(5000円)購入しました。

 

芦川いづみの特集上映は、1本目の作品が石原裕次郎主演、中平康がメガホンを取っている映画『あした晴れるか』。2本目の作品は彼女が愛を信じる無垢なヒロインを演じている『硝子のジョニー 野獣のように見えて』。山田信夫のオリジナル脚本を蔵原惟繕が監督しています。ロイヤル劇場(料金600円と、回数券5,000円①)。グッド!

 

あした晴れるか

『あした晴れるか』(1960年、監督・脚本/中平康、脚本/池田一朗、原作/菊村到、撮影/岩佐一泉、録音/神谷正和、照明/藤林甲、音楽/黛敏郎

 

秋葉原のヤッチャバ(東京青果市場)の家業を手伝う三杉耕平(石原裕次郎)。実は本職はカメラマン。ある日、桜フィルムの宣伝部から“東京探検”というテーマで仕事を依頼される。そして耕平の面倒をみる担当として、宣伝部員の矢巻みはる(芦川いづみ)を付けられた。みはるは大変な才女で耕平にとってまったく苦手なタイプ。あせる

 

仕事を始める前に宣伝部長の宇野(西村晃)にバーに誘われた耕平は、みはると共に痛飲し、気がつくとみはるの実家に泊っているわけで…。目覚めた彼は、みはる一家と一緒に朝食を食べて、何の気後れをする様子もない。このあたり裕次郎のキャラクターが生きているのかも。この場でしのぶ(渡辺美佐子)という姉にも会います。

 

あした晴れるか

 

いよいよ耕平の本格的な仕事が始まった。深川の不動尊、佃島の渡船場、旧赤線地帯など、みはるは一日中耕平の傍につきながら、彼の熱心な仕事振りに次第に惹かれていく。しかし、耕平を積極的に追いかけ廻すセツ子(中原早苗)という女性もおり、さらに姉しのぶも自身の恋愛問題を耕平に相談するなど、穏やかな状況ではない。

 

映画は、セツ子の父親(東野英治郎)とヤクザのもめ事も絡めながら、アクションを交えたテンポの良い作品に仕上がっています。ヒロインともいうべき芦川いづみはキュートな美貌でコメディエンヌぶりを発揮しています。ただ、本編を見る限り彼女や中原早苗、渡辺美佐子らから想いを強く寄せられても、常に誰とも“等距離”でいるような裕次郎の振る舞い。銀幕のスターでいるための“条件”かもしれません(笑)。パー

 

あした晴れるか

 

                                   

 

硝子のジョニー 野獣のように見えて

『硝子のジョニー 野獣のように見えて』(1962年、監督/蔵原惟繕、脚本/山田信夫、企画/水の江瀧子、撮影/間宮義雄、美術/木村威夫、音楽/黛敏郎

 

北海道の北端・稚内の漁師の娘みふね(芦川いづみ)は、貧しさのため人買いの秋本(アイ・ジョージ)に売られるが、途中で逃げ出したところを、見知らぬ男・ジョー(宍戸錠)に救われる。彼は競輪の予想屋で、惚れぬいた若い選手の宏と函館へ向う途中だった。函館の競輪場でみふねはジョーとめぐり逢い、宿屋まで付いていく。

 

風呂から出たみふねは見違えるほど美しく、獣のように襲いかかるジョーだが、彼女の眼にあふれる涙を見て、思わず突き放してしまう。純真なみふねはそれ以来、ジョーを慕い離れようとしない。しかし、自分が目をかけている宏の新たな自転車が欲しいという頼みを叶えるために、ジョーはみふねを売り飛ばして去って行きます。DASH!

 

硝子のジョニー 野獣のように見えて

 

欺されたと知らぬみふねがジョーを待っている競輪場、そこで彼女は秋本に捕まることになり、以降は彼と行動を共にすることになります。秋本は函館駅でかねて恨みを抱く男に肩を刺されて病院へ運ばれることに。人身売買で退院と同時に刑務所へ送られる身の秋本ですが、みふねは警察の許しを得た上で、彼を優しく看護します。汗

 

しかし、自分を捨てた妻の消息を聞いて病院を脱走する秋本。ひとり取り残されたみふねは苦労を重ねながら故郷の稚内へ向かいますが…。映画のタイトルやポスターのデザインを見ると、いかにも宍戸錠の主演映画のようですが、作品を見終えた印象としては2人の“ジョニー”候補に翻弄される芦川いづみがドラマの“軸”になっています。

 

シネスコのスクリーン全面にアップにされる芦川いづみを見て、その可愛さに見惚れる作品であり、往年の人気女優はやはり違うなとの感慨も。彼女の演じた役はフェデリコ・フェリーニの『道』(1954年)のジェルソミーナを想起させる部分もありました。彼女の出演作をさほど見ているわけではないですが、代表作の一本でしょう。パー

 

硝子のジョニー 野獣のように見えて

 


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