A24の知られざる映画たち

「A24の知られざる映画たち presented by U-NEXT」公式サイト

 

U-NEXTで配信されるA24スタジオ作品、その配信サービスに先駆け、日本初上映となる11作品を、全国4都市5劇場にて特集上映する企画「A24の知られざる映画たち presented by U-NEXT」。名古屋ではパルコ東館8Fのセンチュリーシネマにて。

 

私がスクリーン鑑賞したのは、ジョアンナ・ホッグ監督の『エターナル・ドーター』とアイルランドの漁村を舞台にした映画『ゴッズ・クリーチャー』、そしてアメリカの”インディーズ映画の至宝”と称されるケリー・ライカート監督の最新作『ショーイング・アップ』、以上の3作品。センチュリーシネマ(シニア料金1,400円×3)。グッド!

 

エターナル・ドーター

『エターナル・ドーター』(2022年、監督・脚本/ジョアンナ・ホッグ、製作総指揮/マーティン・スコセッシ、撮影/エド・ラザフォード)

 

映画監督のジュリー(ティルダ・スウィントン)は年老いた母ロザリンド(T・スウィントン/2役)を連れて人里離れたホテルにやってくる。ジュリーは謎めいたこの場所で母についての映画を作ろうとするが、やがて母の隠された秘密が明らかになり…。

 

監督を務めたのは『ザ・スーべニア〜魅せられて〜』などのジョアンナ・ホッグ。マーティン・スコセッシが製作総指揮を務め、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門にも正式出品された作品とのことで、ちょっと期待しすぎたかもしれません。

 

オスカー女優のティルダ・スウィントンが一人二役で母娘を演じ、その絆とすれ違いを見事に演じ切ったドラマといえます。ただ、その二人が織りなすドラマの映像を見ていて、何となく主人公の“脳内”ドラマでは…と思っていたら、案の定でした。パー

 

ゴッズ・クリーチャー

『ゴッズ・クリーチャー』(2022年、監督/サエラ・デイヴィス、アナ・ローズ・ホーマー、脚本/シェーン・クローリー、撮影/チェイス・アービン)

 

舞台はアイルランドの風が吹きすさぶ漁村。義父の介護をしながら工場で働くアイリーン(エミリー・ワトソン)のもとに、海外へ出たまま7年間音沙汰のなかった息子ブライアン(ポール・メスカル)が突如戻ってくる。最愛の息子の帰還を喜ぶアイリーンだったが、ある日事件が起きると、彼女は息子を守ろうとして嘘をつきます。

 

その嘘によりアイリーン一家は、村の人々との関係が次第に悪化していきます。そしてさらなる悲劇が生まれることに…。カキの養殖の重労働や水揚げした魚の出荷工場での労働など、アイルランドの漁港の暮らしの厳しさが丹念に綴られています。息子に対して愛情深きことは罪ではないですが、少しだけ踏み違えている印象です。パー

 

ショーイング・アップ

『ショーイング・アップ』(2023年、監督・脚本・編集/ケリー・ライカート、脚本/ジョナサン・レイモンド、撮影/クリストファー・ブロベルト)

 

美術学校で教鞭を取る彫刻家のリジー(ミシェル・ウィリアムズ)は、間近に控えた個展に向けて地下のアトリエで日々、作品の制作に取り組んでいる。創作に集中したいのにままならないリジーの日常が、チャーミングな隣人(ホン・チャウ)や学校の自由な生徒たちとの関係と共に、繊細なタッチで時にユーモラスに描かれていく。音譜

 

アメリカ・インディーズ映画界で高く評価されるケリー・ライカート監督。私は2年半ほど前に名古屋シネマテークの「ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ」という企画上映で、『リバー・オブ・グラス 2Kレストア版』(1994年)『オールド・ジョイ』(2006年)『ウェンディ&ルーシー』(2008年)の3作品を見ています。

 

今回の『ショーイング・アップ』はミシェル・ウィリアムズと4度目のタッグを組んだ最新作ということになります。芸術家の女性の思うようにならない日常や周囲の人々との関係の描写に、独特のタッチを発揮しています。個人的には、この作品の鑑賞に先行して見た『ファースト・カウ』(2020年)が最も印象的なライカート作品です。パー
 


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