台風クラブ 4K

 

2021年、ユーロスペースから始まったレトロスペクティブ「作家主義 相米慎二」の特集上映。コロナ禍にもかかわらず、全13作品上映の中でも最も動員を記録したのがこの映画『台風クラブ』。今回「作家主義 相米慎二2023」のタイトルのもと、この相米慎二監督の代表作が「4Kレストア版」で劇場公開された。私にとっては初のスクリーン鑑賞です。劇場はセンチュリーシネマ(10ポイント獲得の無料鑑賞)。グッド!

 

台風クラブ 4K

 

映画の舞台はある地方都市(ロケ地は長野県の佐久のよう)、高校受験を控える中学3年生たちの集団のドラマ。一見、普通の中学生のように振るまっていますが、心の奥底では“何か”が起こることを期待している。木曜日から月曜日までのドラマです。

 

木曜の夜、中学校のプールに忍びこんだ女子生徒たちは、先に泳いでいた男子生徒をからかって気絶させてしまう。駆けつけた彼らの担任の梅宮(三浦友和)は、おざなりな対応でその場を済ませます。翌日の金曜は、授業中の梅宮の教室へ恋人が家族と共に押しかけ、彼の不誠実を生徒たちの前で糾弾するという出来事が起こる。パンチ!

 

台風クラブ 4K

 

そして土曜日、寝坊をして学校に遅刻した理恵(工藤夕貴)は、東京に向かい家出をする。一方、梅宮のクラスは生真面目な美智子(大西結花)が昨日の件を梅宮に問い詰めたことから収拾のつかない状態に。放課後、梅宮ら教師は生徒たちに台風がやって来るので早く帰宅するよう伝えるのですが、居残ってしまう男女の生徒たち。DASH!

 

この映画が撮られた1980年代は、まだ土曜日は普通に学校があり、週休2日制になっていないわけですが、その土曜の夜から日曜日にかけて中学校がある種の“解放区”のような状態になる。少女たちのレズ行為や少年の性衝動からの暴行など、学校を舞台にしながらハードな描写もあり、台風が最接近する中、乱痴気騒ぎは続きます。

 

15歳を迎える少年少女たちの行動をファンタジーめいたドラマで描いていますが、そこに生々しいリアルな感じがある。彼らを学校に閉じ込めてしまうことになる教師の梅宮を演じているのは三浦友和。終始一貫してダメンズぶりを発揮しています。山口百恵との結婚後、低迷していた彼が役者として目覚めたという映画でもあります。パー

 

(1985年、監督/相米慎二、脚本/加藤祐司、撮影/伊藤昭裕、美術/池谷仙克、照明/島田忠昭、音楽/三枝成彰)

台風クラブ 4K

 


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