是枝裕和監督の『怪物』を見た後に、偶然にも鑑賞した日本映画は漢字2文字のタイトル作品が続きました。1本目の映画『波紋』は、『かもめ食堂』の荻上直子が監督・脚本を手掛け、震災、老人介護、新興宗教、障害者差別といった現代社会が抱える問題に次々と翻弄される家族の姿を描いた作品。主人公・依子を演じるのは筒井真理子。
 

2本目の映画『渇水』は、『凶悪』『孤狼の血』などの白石和彌監督が初プロデュースを手掛け、生田斗真が孤独を抱えた水道局員を演じる人間ドラマ。監督は、岩井俊二監督作や宮藤官九郎監督作で助監督を務めてきた髙橋正弥。劇場はミッドランドスクエアシネマ2(シニア当日1,200円と、8ポイント獲得の無料鑑賞)。グッド!

 

波紋

『波紋』公式サイト

 

以下は映画『波紋』公式サイトに記載の紹介ストーリー(一部)です。

 

須藤依子(筒井真理子)は、今朝も庭の手入れを欠かさない。“緑命会”という新興宗教を信仰し、日々祈りと勉強会に勤しみながら、ひとり穏やかに暮らしていた。ある日、長いこと失踪したままだった夫、修(光石研)が突然帰ってくるまでは—。

自分の父の介護を押し付けたまま失踪し、その上がん治療に必要な高額の費用を助けて欲しいとすがってくる夫。障害のある彼女を結婚相手として連れて帰省してきた息子・拓哉(磯村勇斗)。パート先では癇癪持ちの客に大声で怒鳴られる…。
DASH!
 

波紋

 

自分ではどうにも出来ない辛苦が降りかかってくる生活。依子は湧き起こる昏い感情を、必死に理性で押さえつけようと、さらに新興宗教の信仰と活動に前のめりになるのです。様々な苦難を受けながらも、懸命に生きている健気な主人公というわけではなく、内面に昏い感情をたっぷりと抱え込んでいる。息子が障害のある女性を結婚相手に選んだことに失望感があからさまで、二人の結婚を断念させようとしたりする。

 

信仰に頼ることで感情を抑えていた依子ですが、やがてその抑止が効かなくなり、最後は感情を爆発させることになります。それが悲劇的な展開になるのではなく、喜劇的な雰囲気のままに終着するのが本編の面白さかもしれません。夫役の光石研のほか木野花、キムラ緑子、江口のりこ、柄本明ら個性的な脇役陣も印象的です。パー

 

(2023年、監督・脚本/荻上直子、撮影/山本英夫、照明/小野晃、録音/清水雄一郎、美術/安宅紀史、編集/普嶋信一、音楽/井出博子)

波紋

 

 

 

                                  

 

渇水

『渇水』公式サイト

 

以下は映画『渇水』の宣伝チラシに記載の紹介ストーリーです。

 

日照り続きの夏、市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は、来る日も来る日も水道料金が滞納される家庭を訪ね、水道を停めて回っていた。県内全域で給水制限が発令される中、岩切は二人きりで家に残された幼い姉妹と出会う。蒸発した父、帰らなくなった母親(門脇麦)。困窮家庭にとって最後のライフラインである“水”を停めるのか否か。葛藤を抱えながらも岩切は規則に従い停水を執り行うが―― グー

 

渇水

 

作家・河林満が1990年に発表した小説「渇水」を原作に、脚本を及川章太郎が担当し、監督・髙橋正弥の初メガホン作品。さほど期待していませんでしたが、いい作品に仕上がっています。髙橋監督はこの後『愛のこむらがえり』が公開されています。

市の水道局に勤める岩切俊作は、水道料金を滞納している家庭や店舗を回り、料金徴収および水道を停止する「停水執行」の業務に就いています。貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々を送る毎日。妻(尾野真千子)や子どもとの別居生活も長くなる中、潤いのない孤独な生活を送りながら、職務だけは粛々とこなす暑い夏です。

 

ある日、業務中に育児放棄を受けている幼い姉妹と出会った彼は、逡巡しながらもその家庭の「停水執行」を行います。しかし、やがて姉妹の生活を見かねて、職務に忠実だった男が“暴走”するのです…。育児放棄をする母親を演じているのが門脇麦。年齢的にちょっと無理があるように思いましたが、次へのステップとなるかな。パー

 

(2023年、監督/髙橋正弥、脚本/及川章太郎、原作/河林満、企画プロデュース/白石和彌、撮影/袴田竜太郎、編集/栗谷川純、音楽/向井秀徳)

渇水

 


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