鑑賞日は異なりますが、いずれも伏見ミリオン座で見た外国映画の新作“2本立て”記事です。1本目の映画『いつかの君にもわかること』は、余命わずかと宣告されたシングルファザーが息子の新しい家族探しに奔走する姿を描いたヒューマンドラマ。『おみおくりの作法』のウベルト・パゾリーニが監督・脚本を手掛けています。
 

2本目の映画『逆転のトライアングル』は、『フレンチアルプスで起きたこと』『ザ・スクエア 思いやりの聖域』など、人間に対する鋭い観察眼とブラックユーモアにあふれた作品で高い評価を受けてきたスウェーデンの鬼才リューベン・オストルンドの新作です。鑑賞の劇場は伏見ミリオン座(シニア会員1,100円×2)。グッド!

 

いつかの君にもわかること

『いつかの君にもわかること』公式サイト

 

以下は映画『いつかの君にもわかること』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。

 

窓拭き清掃員として働く33歳のジョン(ジェームズ・ノートン)は若くして不治の病を患い、残された余命はあとわずか。シングルファーザーとして男手ひとつで4歳のマイケル(ダニエル・ラモント)を育ててきた彼は、養子縁組の手続きを行い、息子の“新しい親”を探し始める。あせる

 

理想の家族を求め、何組もの“家族候補”と面会をするが、人生最大の決断を前に進むべき道を見失ってしまう。そんな彼は、献身的なソーシャルワーカーとも出会い、自分の不甲斐なさに押しつぶされそうになりながらも、息子にとって最良の未来を選択しようとするが……。

 

いつかの君にもわかること いつかの君にもわかること

 

窓拭き清掃員として働きながら、4歳の息子を男手ひとつで育てる33歳のジョン。不治の病に冒され余命宣告を受けた彼は、養子縁組の申請手続きを行い、自分が亡くなった後に息子が一緒に暮らす“新しい親”を探し始めます。理想的な家族を求めて何組もの候補と面会しますが、息子を託すべき相手を選ぶことができない。グー

 

献身的なソーシャルワーカーとも出会い、息子にとって最良の選択をしようとするジョンです。両親が揃うこと、経済的な環境、兄弟の有無など、息子の将来を左右する決断をなかなか下せないまま、ジョンの体を蝕む症状はゆるやかに悪化する…。

この作品の内容を事前にチラシで知った時に、私の頭をよぎったのが1970年代の高校生の頃にテレビで見ていた坂口良子主演のドラマ『グッバイ・ママ』。余命わずかのシングルマザーが、子供を託せる父親探しをするというもの。ドラマを丹念に見ていれば、子供を託すべき相手に意外性はない…この展開もよく似ています。パー

 

(2020年、監督・脚本/ウベルト・パゾリーニ、撮影/マリウス・パンドゥル、美術/パトリック・クレイトン、音楽/アンドリュー・サイモン・マカリスター)

いつかの君にもわかること

 

▼ 坂口良子主演の木曜9時の連続ドラマ『グッバイ・ママ』。1976年7月~9月に全11話でテレビ放映された。脚本は市川森一で、ドラマのオープニングに流れていたのがジャニス・イアンの「ラヴ・イズ・ブラインド〜恋は盲目〜」です。音譜

 

                                  


逆転のトライアングル

『逆転のトライアングル』公式サイト


モデルでインフルエンサーとしても注目を集めるヤヤ(チャールビ・ディーン)と、人気が落ち目のモデルのカール(ハリス・ディキンソン)。美男美女カップルの2人はインフルエンサーとしてのヤヤの人気により、豪華客船クルーズの旅に招待される。

 

船内ではリッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでもかなえる客室乗務員が笑顔を振りまく。ある夜、船長(ウディ・ハレルソン)がお客様をおもてなしするキャプテンズ・ディナーが開催される。

 

高級食材をこれでもかとぶち込んだ料理が提供される中、船は嵐へと突入する。船酔いに苦しむ乗客が続出し、船内は地獄絵図の様相に…。泥酔した船長は指揮を放棄し、通りかかった海賊には手榴弾を投げられ、ついに船は難破してしまう。爆弾

 

逆転のトライアングル 逆転のトライアングル

 

数時間後、ヤヤとカール、客室乗務員のポーラ(ビッキ・ベルリン)、そして数人の大富豪たちは無人島に流れ着く。海岸には救命ボートも漂着、中にはトイレ清掃係のアビゲイル(ドリー・デ・レオン) が乗っていた。サバイバル能力の高いアビゲイルは、島に流れついた全員を支配下に置き、島の“女王”として君臨するようになる…。

 

現代における階級社会を痛烈に皮肉るような本編。オストルンド監督は本作で、前作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』に続いてカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、史上3人目となる2作品連続のパルムドール受賞という快挙を成し遂げている。ブラックユーモアに満ちた人間ドラマは、それなりに面白かったのですが、エンディングの映像(演出)は正直“消化不良”の状態。あえて“見せない”選択をしたのかな。パー

 

(2022年、監督・脚本/リューベン・オストルンド、撮影/フレドリック・ウェンツェル、美術/ヨセフィン・オースバリ、衣装/ソフィー・クルネゴート)

逆転のトライアングル

 


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