鑑賞日は異なりますが、いずれも伏見ミリオン座で見た外国映画の新作です。1本目の映画『すべてうまくいきますように』は、フランスの名匠フランソワ・オゾン監督が、『スイミング・プール』の脚本家エマニュエル・ベルンエイムの自伝的小説をもとに、安楽死を望む父親に翻弄される娘たちとの葛藤を描いた人間ドラマです。
2本目の映画『エンパイア・オブ・ライト』は、『1917 命をかけた伝令』『007/スカイフォール』『007/スペクター』のサム・メンデス監督が、『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマンを主演に迎えて描いたヒューマンドラマ。劇場は伏見ミリオン座(シニア会員1,100円と、会員特典の10ポイント獲得の無料鑑賞)。
以下は映画『すべてうまくいきますように』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。
小説家のエマニュエル(ソフィー・マルソー)は、85歳の父アンドレ(アンドレ・ヂュソリエ)が脳卒中で倒れたという報せを受け病院へと駆けつける。意識を取り戻した父は、身体の自由がきかないという現実が受け入れられず、人生を終わらせるのを手伝ってほしいとエマニュエルに頼む。
一方で、リハビリが功を奏し日に日に回復する父は、孫の発表会やお気に入りのレストランへ出かけ、生きる喜びを取り戻したかのように見えた。だが、父はまるで楽しい旅行の日を決めるかのように、娘たちにその日を告げる──。
芸術や美食を楽しみ、ユーモアと好奇心にあふれ、人生を愛していた父親アンドレが脳卒中で倒れて入院生活に。身体の自由がきかなくなった彼はその現実を受け入れられず、人生を終わらせるのを手伝ってほしいと2人の娘に頼みます。姉のエマニュエルは父の気が変わることを願いながらも、頑固な父親の性格を慮って、合法的な安楽死を支援するスイスの協会に連絡をとり、その実現の可能性を探ります。
リハビリの甲斐あって回復の兆しも見えますが、安楽死を望む父親の意思は揺らぐことがない。やがて最期の日を決めた父と娘たちの前に、様々な難題が立ちはだかるのですが…。安楽死(尊厳死)を題材としながらも、どこまでもユーモア感に満ちた作品です。そして、ラストを迎えるまでには、少なからずサスペンス感もあります。
ソフィー・マルソーがエマニュエル役で主演を務め、『私のように美しい娘』のアンドレ・デュソリエが父親アンドレ、そして『さざなみ』のシャーロット・ランプリングが母親クロードを演じています。安楽死(尊厳死)については明らかに後進国の日本ですが、老いと死、そして家族のことを切実に考えさせられる映画でした。
(2021年、監督・脚本/フランソワ・オゾン、撮影/イシャーム・アラウィエ、美術/エマニュエル・デュプレ、編集/ロール・ガルデット)
以下は映画『エンパイア・オブ・ライト』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。
1980年代初頭のイギリスの静かな海辺の町、マーゲイト。辛い過去を経験し、今も心に闇を抱えるヒラリー(オリヴィア・コールマン)は、地元で愛される映画館、エンパイア劇場で働いている。厳しい不況と社会不安の中、彼女の前に、夢を諦め映画館で働くことを決意した青年スティーヴン(マイケル・ウォード)が現れる。
職場に集まる仲間たちの優しさに守られながら、過酷な現実と人生の苦難に常に道を阻まれてきた彼らは、次第に心を通わせ始める。前向きに生きるスティーヴンとの出会いに、ヒラリーは生きる希望を見出していくのだが、時代の荒波は二人に想像もつかない試練を与えるのだった・・・。
映画の舞台は、厳しい不況と社会不安に揺れる1980年代初頭のイギリスの港町マーゲイト。往年の賑わいは失せたものの地元の人々に愛されている映画館・エンパイア劇場で働くヒラリーは、つらい過去のせいで心に闇を抱えていた。そんな彼女の前に、学業の夢を諦めて映画館で働くことを決めた青年スティーヴンが現れます。
職場に集まる仲間たちの優しさに守られながら、過酷な現実と人生の苦難に常に道を阻まれてきた2人は、次第に心を通わせていきます。前向きに生きるスティーヴンとの出会いにヒラリーは生きる希望を見出し、2人の関係は”恋人以上”という印象です―。
この映画が描く時代とちょうど同じ頃、学生の身でありながら信州・松本の映画館で正社員と同様のアルバイト生活をしていた私です(そのため卒業に+1年を要していますが…)。ここ最近、『バビロン』『フェイブルマンズ』など“映画愛”が感じられる作品の公開が続いています。本編は鑑賞後にパンフレットを購入しました。
(2022年、監督・脚本/サム・メンデス、撮影/ロジャー・ディーキンス、美術/マーク・ティルデスリー、衣装/アレクサンドラ・バーン、編集/リー・スミス)