鑑賞日は異なりますが、いずれも伏見ミリオン座で見た新作映画2本です。1本目の映画『コンパートメント No.6』は、『オリ・マキの人生で最も幸せな日』で長編デビューしたフィンランドの新鋭ユホ・クオスマネンが、同国の作家ロサ・リクソムの小説をもとに撮り上げた長編第2作。第74回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作です。

2本目の映画『対峙』は、高校銃乱射事件の被害者家族と加害者家族が、その事件から6年後、教会の奥の小さな個室で立会人もいない状況の中で“対話”を進める物語。特異な緊張に満ちた密室劇です。劇場は伏見ミリオン座(シニア会員1,100円×2)。グッド!

 

コンパートメント No.6

『コンパートメント No.6』公式サイト

 

以下は映画『コンパートメント No.6』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。

 

モスクワに留学中のフィンランド人学生ラウラ(セイディ・ハーラ)。彼女の、古代のペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く旅は、恋人にドタキャンされ、急遽一人旅に。そんな彼女が寝台列車6号コンパートメントに乗り合わせたのは、モスクワのインテリたちとは正反対の、粗野なロシア人労働者リョーハ(ユーリー・ボリソフ)。最悪の出会いから始まった、二人の長い旅の行方は……。DASH!

 

コンパートメント No.6 コンパートメント No.6

 

映画の舞台は1990年代のロシア。フィンランドからの留学生ラウラは恋人と一緒に世界最北端駅ムルマンスクのペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く予定でしたが、一人で出発することになってしまう。寝台列車の6号客室に乗り合わせたのは、ロシア人の炭鉱労働者リョーハ。ラウラは彼の粗野な言動や態度に、最初は悩まされますが…。

 

突き詰めると、ロシアに留学中のフィンランド女性と地元ロシアの炭鉱労働者の“ボーイ・ミーツ・ガール”映画です。最初はガサツな男にしか見えなかったリョーハが意外に“いい奴”だったり、若い男女が心を通わすほどの長旅ができる寝台列車が走る広大な国土など、ロシアの“いい面”が作品を通して描かれている印象。映画の製作は2021年ですから、当然のことながらウクライナ侵攻以前に撮り上げられた作品です。パー

 

(2021年、監督・脚本/ユホ・クオスマネン、原作/ロサ・リクサム、撮影/J=P・パッシ、美術/カリ・カンカーンパー、編集/ユッシ・ラウタニエミ)

コンパートメント No.6

 

 

 

                                  

 

対峙

『対峙』公式サイト

 

以下は映画『対峙』公式サイトに記載の紹介ストーリー(一部)です。

 

アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が勃発。多くの同級生が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。それから6年、いまだ息子の死を受け入れられないジェイとゲイルの夫妻は、事件の背景にどういう真実があったのか、何か予兆があったのではないかという思いを募らせていた。―― メラメラ

 

対峙 対峙

 

ジェイとゲイル夫妻はセラピストの勧めで、加害者の両親と会って話をする機会を得て、その場に臨みます。場所は教会の奥の小さな個室、立会人は無し。最初はぎこちなく言葉を交わす2組の夫婦ですが、ゲイルの「息子さんについて何もかも話してくだい」という言葉を合図に、結末が予測できない密室の対話劇が始まります。あせる

 

ドラマは被害者側の夫婦が加害者側の夫婦を糾弾するという単純なスタイルには進みません。加害者側の夫婦には、子供の成長に伴う関わり方で“温度差”があるようですし、被害者側の夫婦もまた喪失感の抱き方に大きな差が見受けられます。

 

映画は、何ごとも穏便に済まそうとする日本の社会では考えられない設定の密室ドラマです。その設定のバックボーンとしてはキリスト教の信仰というのもあるのかもしれません。特異な状況の密室での会話劇を演出したのは、『キャビン』などに出演している俳優フラン・クランツ。自ら脚本を書いて初監督作品に挑んでいます。パー

 

(2021年、監督・脚本/フラン・クランツ、撮影/ライアン・ジャクソン=ヒーリー、美術/リンジー・モラン、編集/ヤン・ホア・フー、音楽/ダーレン・モルゼ)

対峙

 


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