本日も1月に伏見ミリオン座で同日に鑑賞した新作映画2本です。私の場合、寒さの厳しい時季(逆に暑さの厳しい時季も)、やはり劇場から劇場への移動を避けて、同じ映画館での連続鑑賞を選ぶ傾向が強いです。ズボラということでしょうか(笑)
1本目の『モリコーネ 映画が恋した音楽家』は『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督が、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネに迫ったドキュメンタリー。2本目の『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』は、映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタインによる性的暴行を告発した2人の女性記者の回顧録をもとに映画化した社会派ドラマ。伏見ミリオン座(シニア会員1,100円×2)。
以下は映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』公式サイトに記載の紹介ストーリー(一部)です。
世界的な名声を手にしたマエストロの一日は、驚くほど“地道”な作業で幕を開ける。ただ黙々と、ルーティーンのストレッチをこなすのだ。 幼かったモリコーネを音楽へ導いたのは、トランペット奏者の父親だった。
父が決めた音楽院に入学するが、病に伏した父の父の代わりにナイトクラブでの演奏で家計を助けることになるなど、苦労の多い青年時代を送る。当時のモリコーネの心の支えは、学んだばかりの“作曲”だった。この時に教えを請うた偉大な作曲家ゴッフレード・ペトラッシが、モリコーネの生涯の師となる。――
卒業後、恋人のマリアと結婚したモリコーネは、生活のためにRCAレコードと契約し数々の編曲により注目されるようになり、やがて映画音楽の仕事が舞い込むようになります。その中の一人が、小学校の同級生だったというセルジオ・レオーネ監督。
『荒野の用心棒』(1964年)から始まる精力的な映画音楽の創作活動ですが、モリコーネ本人は映画音楽に携わることに深い葛藤があったというのが、本編の“肝”かもしれません。師のペトラッシを含めたアカデミックな音楽界からは、商業音楽の世界に生きるモリコーネは評価もされず、“黙殺”に近い状態が長く続くことになります。
映画は、錚々たる顔ぶれの監督・プロデューサー・音楽家へのインタビュー、代表作ともいうべき楽曲の使われた名場面など盛りだくさん。そして、何よりモリコーネ本人が自身の人生と作品について語るインタビューが魅力的です。本編の監督ジュゼッペ・トルナトーレとの信頼関係があって成し得たインタビューなのでしょう。
(2021年、監督・脚本/ジュゼッペ・トルナトーレ、撮影/ファビオ・ザマリオン、ジャンカルロ・レッジェーリ、編集/マッシモ・クアッリア、アナリサ・スキラッチ)
以下は映画『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。
取材を進める中で、ワインスタインは過去に何度も記事をもみ消してきたことが判明する。さらに、被害にあった女性たちは示談に応じており、証言すれば訴えられるため、声をあげられないままでいた。
問題の本質は業界の隠蔽構造だと知った記者たちは、調査を妨害されながらも信念を曲げず、証言を決意した勇気ある女性たちと共に突き進む。そして、遂に数十年にわたる沈黙が破られ、真実が明らかになっていくー。
ニューヨーク・タイムズ紙の記者ミーガン・トゥーイー(キャリー・マリガン)とジョディ・カンター(ゾーイ・カザン)は、大物映画プロデューサーのワインスタインが数十年にわたって続けてきた性的暴行について取材を始め、彼がこれまで何度も記事をもみ消してきたことを知る。被害女性の多くは示談に応じており、証言すれば訴えられるという恐怖や当時のトラウマによって声を上げられずにいるのだ。
問題の本質が業界の隠蔽体質にあると気づいた2人の記者。取材の対象者からは拒絶され、ワインスタイン側からの執拗な妨害も始まりますが、2人は真実を追い求めて奔走します。証言を得るためにヨーロッパへの出張を行うなど、やはりアメリカのマスメディアの行動力は違います。また、2人の記者にはそれぞれ子供もいますが、その連れ合いが協力的で、彼女らの“仕事”を全面支援している姿に感心しました。
(2022年、監督/マリア・シュラーダー、脚本/レベッカ・レンキェビチ、原作/ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー、撮影/ナターシャ・ブライエ)