天使のはらわた

 

1971年にスタートした日活のロマンポルノは、1988年までの17年間に約1,100本に及ぶ作品を公開しています。その50周年記念プロジェクトとして「ロマンポルノ・ナウ」のタイトルのもと、3本の新作映画が連続公開されました。松居大悟、白石晃士、金子修介の3監督がメガホンを取った新作ロマンポルノを、私は逃さずに見ました。

 

この企画上映をしていた名古屋シネマテークでは、併せて1971年の『団地妻  昼下りの情事』から1988年の『天使のはらわた  赤い眩暈』に至るまでの旧作ロマンポルノを7本上映。1日1本を最終の上映、1週間限定というわけです。私は公開時から評価の高い、水原ゆう紀主演のシリーズ第2作目、曽根中生監督の『天使のはらわた  赤い教室』の1作のみ再見しました。劇場は名古屋シネマテーク(シニア会員1,000円)。グッド!

 

天使のはらわた


ポルノ雑誌記者の村木(蟹江敬三)は、温泉街でブルーフィルムを観賞するが、そこに映し出された女に魅了される。村木の知るモデルたちからは想像すらできない迫真の演技…。彼女に魅せられた村木は、ツテをたどり探し回りますがうまく行かない。

 

ところが、撮影で訪れたラブホテルの受付で「あの女」名美(水原ゆう紀)と出会う。村木は名美にブルーフィルムが忘れられないと告白するのですが、実は彼女が学生時代に強姦された時に撮られた映像だったことがわかります。村木のように迫る男はいつものことと、名美は身を提供しようとしますが、村木はそれを拒みます…。

 

村木とは決して結ばれることのないヒロイン・名美。通りすがりの男ともその場限りの関係を繰り返すような自堕落な面がありながら、村木との関係には“何か”が残っている。ヒロイン・名美に挑んだ水原ゆう紀の演技と、思いを届けられない男を演じる蟹江敬三。“すれ違い”のドラマ好きの私の大好きなロマンポルノ作品です。パー
 

(1979年、監督・脚本/曽根中生、原作・脚本/石井隆、撮影/水野尾信正、録音/橋本文雄、照明/熊谷秀夫、美術/柳生一夫、編集/鍋島惇)

天使のはらわた

 

                                  

 

ここからは、昭和のオヤジのメモリアルな記事になります。1970年代の後半、週刊ヤングコミックに連載されていた石井隆の劇画「天使のはらわた」。 映画化された第1作は『女高生 天使のはらわた』(1978年)で、監督はシリーズ第2作となる本編と同じく曽根中生。「天使のはらわた」をタイトルに置いた作品は以下の通りです。DASH!

 

・『女高生  天使のはらわた』(1978年、監督/曽根中生、主演/大谷麻知子)

・『天使のはらわた  赤い教室』(1979年、監督/曽根中生、主演/水原ゆう紀)

・『天使のはらわた  名美』(1979年、監督/田中登、主演/鹿沼えり)

・『天使のはらわた  赤い淫画』(1981年、監督/池田敏春、主演/泉じゅん)

・『天使のはらわた  赤い眩暈』(1988年、監督/石井隆、主演/桂木麻也子)

・『天使のはらわた  赤い閃光』(1994年、監督/石井隆、主演/川上麻衣子)

 

シリーズ作品の4作目まではリアルタイムで劇場で見ています。水原ゆう紀、鹿沼えり、泉じゅんなど当時のロマンポルノの人気女優が、それぞれに挑んだヒロイン・名美です。原作が劇画ですから、ある意味、“名美”というのは誰でも演じれるのか…。

 

天使のはらわた      さそり 篠原とおる

 

そのヒロイン“名美”という名前から、映画を見ていた当時から気になっていたのが、先行する劇画の映画化シリーズ「女囚さそり」。こちらは篠原とおるの劇画を原作に、梶芽衣子の主演で大ヒットしたシリーズ。ヒロインの名は“松島ナミ”です。

 

梶芽衣子が主演したオリジナルの4作品後も、多岐川裕美や夏樹陽子ら多くの女優が「さそり」の松島ナミを演じています。意志の強いタイプに見える女優であれば、形だけは“ナミ”の役には合うのかもしれません。振り返ってみて、自分の人生で実は“ナミ”という女性に出会った記憶がない…それを少し残念に思う気持ちがあります。あせる

 

さそり 梶芽衣子

 


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