7月の月末を迎えましたが、私のブログ記事はようやく7月の劇場鑑賞作品にたどり着きました。しばらくは“2本立て”記事を多めにブログの更新を行うつもりです。本日は鑑賞日は異なりますが、いずれもシネマスコーレで見た日本映画の過去作。1本目の映画『六月の蛇』(2002年)は塚本晋也監督の長編第7作にあたるスリラー映画。

 

2本目の映画『天使のはらわた 赤い眩暈』(1988年)は、“天使のはらわた”シリーズの原作者である石井隆が初めて監督を務めた作品。恋人に裏切られた女と客の金を使い込んでしまった証券マンとの“逃避行”が描かれます。名美を演じるのは桂木麻也子、村木を演じるのは竹中直人。シネマスコーレ(会員シニア1,000円×2)。グッド!

 

六月の蛇

 

“心の健康センター”の電話相談室で働くりん子(黒沢あすか)は、夫(神足裕司)と高級マンションで恵まれた生活を送っています。そんな彼女の元にある日、一通の封筒が届く。そこにはりん子が自慰にふけるあられもない姿が映し出されていた。

 

その日からりん子にとっては恐怖の日々が始まります。手紙を寄こした男(塚本晋也)に脅迫され、その命ずるがままの行為を続けていくことになる。短いスカートをはいて街を歩かされ、下着をつけずに地下鉄での移動を求められるなどなど。あせる

 

六月の蛇

 

死期の近い脅迫者の歪んだ欲望に翻弄されていくヒロインですが、映画の中では六月の降り続ける雨の中、自らの中にある“何か”を解放していく彼女の姿が描かれます。そういう意味では、ロマンポルノ作品ほどのエロチックな描写はないのですが、その要素を十分に取り込んだ映像作品であり、スリラー作品のように思えました。

 

作品全体はブルートーンのモノクローム映像で描かれています。タイトル通りに雨の降る時季でもあるな~という思いにも駆られます。その雨にずぶ濡れになりながら、女の情動を激しく演じる主演の黒沢あすか。公開当時に海外の映画祭でも数多く受賞を果たしたようですが、やはり彼女の熱演があって成り立つ作品ですね。パー

 

(2002年、監督・脚本・製作・編集/塚本晋也、音楽/石井忠)

六月の蛇

 

                                  

 

天使のはらわた 赤い眩暈

 

土屋名美(桂木麻也子)は22歳の看護婦で、将来は同棲中のカメラマン太田健一(小林宏史)と結婚したいと考えていた。ある晩、名美は夜勤で病院にいたが、患者からナースコールが入り、病室へと急いだ。そこで二人の患者に犯されそうになり、必死の思いで逃げ出し早めに家に戻ると、マンションでは健一がモデルと浮気の最中…。

 

一方、証券マンの村木(竹中直人)は客の金に手を出し、首が回らなくなっていた。妻には逃げられ、会社もクビになった村木はやけになって車を走らせていて、マンションを飛び出してきた名美をはねてしまう。慌てふためいた村木は、意識を失った名美を病院には運ばず、自分の車に乗せて雨の中を人気のない郊外まで走らせる。DASH!

 

天使のはらわた 赤い眩暈

 

やがて目を覚ました名美を、無理やり連れ込んだ廃校内で村木は犯す。しかし、その後は村木が泣いて詫びることから、名美も抵抗する気持ちをなくし、二人の間に不思議な感情が生まれ始める。繰り返されるセックス・シーンの描写があり、心が通い合うようになった二人ですが、その別れは唐突な形で訪れることになります。あせる

 

日活ロマンポルノの売り方としてのシリーズ作品は、監督や主演女優に大きなこだわりなく、タイトルと原作がクレジットされているくらいの印象です。私の場合、本編以前の『女高生 天使のはらわた』『天使のはらわた 赤い教室』『天使のはらわた 名美』『天使のはらわた 赤い淫画』と、なぜかすべてスクリーン鑑賞しています。

 

それ以外にも「天使のはらわた」のタイトルがないものの、石井隆原作の名美の物語として『ルージュ』『ラブホテル』といった映画があります。名美を演じる女優はその時々の日活が力を入れている女優で、各編で主演女優は異なります。固定化されたイメージがないため、女優であれば誰でも名美を演じることはできそうです。パー

 

(1988年、監督・脚本・原作/石井隆、撮影/佐々木原保志、照明/金沢正夫、録音/酒匂芳郎、美術/細石照美、編集/川島章正)

天使のはらわた 赤い眩暈

 


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