そして人生はつづく

「そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映」公式サイト

 

『友だちのうちはどこ?』(1987年)にはじまる「ジグザグ道三部作」や、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『桜桃の味』(1997年)などで知られるイランを代表する巨匠アッバス・キアロスタミ監督。世界的にキアロスタミ監督の再評価が高まる中、その珠玉の傑作7作品がデジタル・リマスター版となって劇場初公開。日本でも特集上映として企画されました。

 

私がスクリーン鑑賞できたのは『そして人生はつづく』の一本だけですが、この作品は「ジグザグ道三部作」の第2作ということになります。1990年のイラン大地震後、前作『友だちのうちはどこ?』の出演者たちの安否を確認しようと、イラン北部の被災地へ向かう監督親子の旅を再現したロードムービー。劇場は名古屋シネマテーク(10ポイント獲得の無料鑑賞)。グッド!

 

そして人生はつづく

 

以下は「そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映」公式サイトに記載の本編の紹介ストーリー(一部)です。

 

1990年、イラン北部で起きた大地震は、『友だちのうちはどこ?』を撮影した村にも容赦なく襲いかかった。地震後、キアロスタミは映画に出演した兄弟の安否を確認しに、息子を連れて被災地へ向かう。本作は、その時の経験をそのままに再現。撮影は地震から半年後に実際の被災地で行われ、監督役には当時イランの経済庁で働いていた男が抜擢された。

‎「私の映画に出ていた子たちを知ってる?」。 車に乗り、少年たちを探しまわる監督親子の奇妙なロードムービー。―― DASH!

 

そして人生はつづく

 

1990年、大地震がイラン北部を襲った。『友だちのうちはどこ?』の撮影地は被災地の近くであり、映画の少年たちの安否を気遣って、地震の5日後、監督(フファルハッド・ケラドマン)は息子のプーヤ(プーヤ・パイヴァール)を伴って撮影の行われたコケール村に向かいます。車

 

キアロスタミ監督が実際に取った行動に基づいていますが、監督役に一般人を起用するなどフィクションとしての体裁になっています。実際の撮影は地震から半年後のようですが、崩れた家を片づける人々、岩に押しつぶされた車、亀裂が何本も入った山肌などを捉えた映像は、ドキュメンタリー映画の様式で撮影が進められていて、やはりリアルで生々しいです。

 

村に行く途中で『友だちのうちはどこ?』で主人公に道を教える老人役で登場したヒルさんに会いますが、これはもちろん映画的な演出。そのあたりのネタバレ的な話を平気でヒルさんが語っているのは笑えました。この老人を始めとして新婚の夫婦や子供たちが、大きな災害に見舞われながらも逞しく生きる姿を描く本編は、見終えて心温まる映画です。「ジグザグ道三部作」の完結編となる『オリーブの林をぬけて』を見逃したのは、少し悔やまれます。パー

 

(1992年、監督・脚本・編集/アッバス・キアロスタミ、撮影/ホマユン・パイヴァール、録音/ハッサン・ザヘディ、チャンギス・サイヤッド)

そして人生はつづく

 


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