昨年末の劇場鑑賞作品を“2本立て”で押し進めようと思います。1本目の映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』は、環境汚染問題をめぐって一人の弁護士が10数年にもわたり巨大企業との闘いを繰り広げた実話を、環境保護の活動家という一面も持つ俳優マーク・ラファロがプロデュース・主演した作品。監督は映画『キャロル』のトッド・ヘインズ。

 

2本目の映画『世界で一番美しい少年』は、巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』(1971年)で主人公を破滅に導く少年役を演じたビョルン・アンドレセンの50年間に迫ったドキュメンタリー。伏見ミリオン座(10ポイント獲得の無料鑑賞と、シニア会員1,100円)。グッド!

 

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』公式サイト

 

以下は映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』公式サイトに記載の紹介ストーリー(一部)です。

 

1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士ロブ・ビロット(マーク・ラファロ)が、見知らぬ中年男から思いがけない調査依頼を受ける。ウェストバージニア州パーカーズバーグで農場を営むその男、ウィルバー・テナント(ビル・キャンプ)は、大手化学メーカー、デュポン社の工場からの廃棄物によって土地を汚され、190頭もの牛を病死させられたというのだ。さしたる確信もなく、廃棄物に関する資料開示を裁判所に求めたロブは、“PFOA”という謎めいたワードを調べたことをきっかけに、事態の深刻さに気づき始める。―― 爆弾

 

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男 ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

 

孤軍奮闘で調査を開始したロブは、デュポン社は発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、その物質を大気中や土壌に垂れ流してきた事実を知ることになります。世界有数の化学企業を相手にした訴訟に踏み切ることに多少の逡巡はあるものの、最大の理解者である妻のサラ(アン・ハサウェイ)、そして上司のターブ(ティム・ロビンス)の支援もあり、やがてロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟で巨大企業に挑んでいくわけです。

 

世界有数の化学企業を敵に回したことで生じる強烈なプレッシャーは尋常なものではないと思います。その象徴的な場面は、私には裁判所に出廷するためにやって来た地下駐車所でロブが心理的に“圧迫”を受けるサスペンス・シーンでした。公私両面のストレスは“正義の代償”の一言では片づけられないものがあります。晴れ晴れとするようなエンディングには至りませんが、それでもなお正義をひたむきに追求する主人公の姿が印象的な作品です。パー

 

(2019年、監督/トッド・ヘインズ、脚本/マリオ・コレア、マシュー・マイケル・カーナハン、撮影/エドワード・ラックマン、音楽/マーセロ・ザーボス)

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

 

 

                                  

 

世界で一番美しい少年

『世界で一番美しい少年』公式サイト

 

1970年、映画監督ルキノ・ヴィスコンティはトーマス・マンの小説「ベニスに死す」の映像化のために、絶対の美の化身となりえる完璧な少年を探し、ヨーロッパ中でオーディションを開催していた。そして、ストックホルムの会場でビョルン・アンドレセンを見い出す。映画が完成すると、この内気な15歳のティーンエイジャーは一夜にして世界的な名声を得ることになる…。

 

このドキュメンタリー映画『世界で一番美しい少年』は、そのヴィスコンティの代表作『ベニスに死す』で伝説のキャラクター、タジオを演じたビョルン・アンドレセンが50年の時を経て、彼自身の記憶により映画にまつわること、その後の人生や悲劇めいた事柄まで辿るような内容の作品です。現在のアンドレセンが被写体となりつつ“水先案内人”となっています。カチンコ

 

世界で一番美しい少年 世界で一番美しい少年

 

2年前に公開されたアリ・アスター監督の『ミッドサマー』の老人ダン役でスクリーンに登場した時に、あの『ベニスに死す』の美少年の変貌ぶりが話題となった記憶はありました。50年の時を経ているのですから、どんな紅顔の美少年であってもジジイになるだろうと“老優”アンドレセンを擁護したい気持ちになったものです。私も半世紀前は無垢な少年でした…(大笑)

 

本編の中で、老いの魅力を放つようになったアンドレセンは、かつて『ベニスに死す』公開後の熱狂の中で訪れたパリ、ベニス、東京へと向かいます。その旅の中で、若き日の懐かしくも残酷な、栄光と破滅の軌跡が辿られ、それが映像化されています。リアルタイムの記憶はなかったのですが、彼の日本での人気は半端ではなかったようで、日本語版のレコード発表やチョコレートCMなど驚く映像と共に、現在の日本での撮影なども嬉しくなる作品です。パー

(2021年、監督/クリスティーナ・リンドストロム、クリスティアン・ペトリ、撮影/エリック・バルステン、編集/ハンナ・レヨンクビスト、ディノ・ヨンサーテル)

世界で一番美しい少年

 


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