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4月の終盤に岐阜・柳ケ瀬の“昭和の映画館”ロイヤル劇場へプチ遠征し、およそ40年ぶりにスクリーン鑑賞した『戦国自衛隊』。2週続けての企画上映タイトルは「CGじゃない本物の迫力! 角川映画特集」とあり、現在(5/1~5/7)は『野性の証明』(1978年)が上映されています。豪華キャストと“物量”に物言わせるような粗っぽい作品という印象は拭えませんでしたが、当時の角川映画の“熱量”は伝わります。ロイヤル劇場(料金は一律600円)。

 

戦国自衛隊

 

伊庭三尉(千葉真一)を隊長とする21名の自衛隊員は、日本海側で行われる大演習に参加するために目的地に向かっている際、“時空連続体の歪み”によって400年前の戦国時代にタイム・スリップしてしまう。それは織田信長が勢力を伸ばしつつある中、上杉、武田、浅井、朝倉らが覇を競い合い、京へ出て天下を取ろうと機をうかがっていた戦乱の時代です。メラメラ

 

成行きから彼等は、のちの上杉謙信となる長尾平三景虎(夏八木勲)に加担することになり、近代兵器の威力で勝利をもたらします。しかしその戦闘の中で、2人の隊員が亡くなったことから、若い自衛官たちは自分らが紛れもない戦国時代へ来てしまったことを痛感する。

 

そうした混乱の中で、伊庭と景虎はお互いに心が通じ合う何かを感じます。一方、若い隊員のひとり菊池(にしきのあきら)は、現代に残してきた恋人・和子(岡田奈々)への思いが募り、隊から離脱。また、三村(中康次)は農家の娘みわ(小野みゆき)に出会い、恋に落ちていきます。岡田奈々、小野みゆきは共に恋心を秘めた役柄ですが、セリフはありません。グー

 

戦国自衛隊

 

この映画は1979年の年末に公開された、いわゆる”正月映画”ですから、1970年代の映画にこだわる私としては、当然のことながらリアルタイムで鑑賞しております。角川映画としても大作『復活の日』の製作が遅れ、国内撮影だった本編を“大作”仕立てにしたような感じです。

 

若き自衛隊員としては、江藤潤、三浦洋一、かまやつひろし、河原崎建三、角野卓造、鈴木ヒロミツら個性的な面々が集っています。また、戦国時代の武将役などでは鈴木瑞穂、成田三樹夫、仲谷昇、小池朝雄、岸田森、石橋雅史ら名のある脇役陣が出演しています。ただ、人によってはワンシーンのみの出演で、バッサリと斬り捨てられてしまうことになります。あせる

 

40年を越えての“再見”でしたので、ドラマのほとんどは忘却の彼方の状態でした。今回の鑑賞を終えて、この映画の見どころをまとめると前半は、リーダーともいうべき伊庭と対立する隊員・矢野(渡瀬恒彦)の反乱行為とその“鎮圧”を描いたアクション部分。そして後半は、伊庭たち自衛隊員のみで信玄率いる武田軍と壮絶な戦いを繰り広げる“川中島の合戦”です。

 

わずかな自衛隊員と2万人の武田軍との戦い。戦車、ジープ、ヘリを駆使しての互角の勝負は、隊員側にも次々と犠牲者を生み出すことになりますが、伊庭は目指す武田信玄の首を取ることに成功します。しかし、謙信と共に天下を取る夢は叶うことはありません…。時代の波に飲み込まれてしまったような伊庭たちの悲劇的な結末ですが、彼らが時代の流れの“あぶく”のような存在だとすれば、私もまたそのような“あぶく”に過ぎないと感じ入りました。パー

 

『戦国自衛隊』(1979年、監督/斉藤光正、脚本/鎌田敏夫、原作/半村良、アクション監督・主演/千葉真一、製作・音楽監督/角川春樹、撮影/伊佐山巌)

戦国自衛隊

 


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