10月後半の週末、同じ日に続けて見た映画ですが、劇映画『許された子どもたち』は名古屋駅西のシネマスコーレで、ドキュメンタリー映画『おかえり ただいま』は名古屋シネマテークでの鑑賞です。今回リバイバル上映の映画『許された子どもたち』は、『先生を流産させる会』の内藤瑛亮監督が、実際に起きた複数の少年事件をモチーフに、構想に8年の歳月をかけて自主制作映画として完成させた作品。シネマスコーレ(シニア会員1,000円)。

 

ドキュメンタリ―映画『おかえり ただいま』は、様々な社会問題を取り上げたドキュメンタリー作品を世に送り出している東海テレビによる劇場公開ドキュメンタリーの第13弾。『死刑弁護人』『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』などの齊藤潤一監督が、「名古屋闇サイト殺人事件」の深層に迫ります。劇場は名古屋シネマテーク(シニア会員1,000円)。グッド!

 

許された子どもたち

『許された子どもたち』公式サイト

 

以下は映画『許された子どもたち』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。

 

とある地方都市。中学一年生で不良少年グループのリーダー市川絆星(いちかわ・きら)は、同級生の倉持樹(くらもち・いつき)を日常的にいじめていた。いじめはエスカレートしていき、絆星は樹を殺してしまう。警察に犯行を自供する絆星だったが、息子の無罪を信じる母親の真理(まり)の説得によって否認に転じ、そして少年審判は無罪に相当する「不処分」を決定する。グー

 

絆星は自由を得るが、決定に対し世間から激しいバッシングが巻き起こる。そんな中、樹の家族は民事訴訟により、絆星ら不良少年グループの罪を問うことを決意する。果たして、罪を犯したにも関わらず許されてしまった子どもはその罪をどう受け止め、生きていくのか。大人は罪を許された子どもと、どう向き合うのか。

 

許された子どもたち 許された子どもたち

 

この2本の映画鑑賞の前には、実は伏見ミリオン座で韓国映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』を見ています。この日は1日3本鑑賞の“映画デー”だったわけですが、後から考えるとどの作品も“子供”が殺人事件に巻き込まれる話です。子供の窮地をサスペンスフルに描くような“あざとい”映画が性に合わない私としては、「厄日」のような鑑賞日だったかも…(笑)

 

不良グループのリーダーである中学1年生の市川絆星。同級生の倉持樹へのいじめがエスカレートし、彼の命を奪うことになってしまう。警察に犯行を自供する絆星だったが、息子の無罪を信じる母親・真理の説得により、やがて否認に転じる。少年審判は無罪に相当する「不処分」の決定を下し絆星は自由を得るが、世間では激しいバッシングが巻き起こる。

 

つい最近見た映画『望み』でも、少年犯罪におけるマスコミや世間のパッシングの苛烈さは描かれていましたが、『望み』と違うのは本編の主人公の少年はたしかに加害者であるということでしょうか。居住地を変え、仕事を変えて、名乗る名前を変えても、世間のパッシングが途絶えることはありません。父親は中途でギブアップしますが、母親はやはり強いです。パー

 

(2020年、監督・脚本・編集/内藤瑛亮、脚本/山形哲生、撮影/伊集守忠、、照明/加藤大輝、山口峰寛、編集/冨永圭祐、音楽/有田尚史)

許された子どもたち

 

                                                 

 

おかえり ただいま

『おかえり ただいま』公式サイト

 

以下は映画『おかえり ただいま』公式サイトに記載の作品紹介文のコピーです。

 

名古屋闇サイト殺人事件 — 2007年8月24日深夜、帰宅途中の女性が拉致、殺害され、山中に遺棄された。犯人は、携帯電話のサイト“闇の職業安定所”で知り合った3人の男たち。マスコミの報道は過熱、娘を奪われた母は加害者全員の死刑を望んだ。しかし、立ちはだかったのは「1人の殺害は無期懲役が妥当」という判例。母は街頭に立ち、極刑を求めて約33万筆の署名を集めた。裁判は1人が死刑、2人に無期懲役。その後、無期の1人に別の強盗殺人の余罪が発覚し、死刑が確定した。パンチ!

 

おかえり ただいま おかえり ただいま

 

2007年8月24日深夜、帰宅途中の女性が拉致、殺害され、山中に遺棄された名古屋闇サイト殺人事件。その事件があった当時、殺害に至るまでの経緯や加害者の身勝手な行動に驚くものがありました。しかし、それ以前に被害者女性の遺体が遺棄されたのが私の住む瑞浪市内だったこと、しかも私の実家に帰る道沿いだったことなど記憶の底に残っています。ドンッ

 

作品は冒頭から斉藤由貴、佐津川愛美らによる再現ドラマで展開します。私の感覚でいけばこの時間が長く、“ドキュメンタリー作品?”との疑念が心に湧いてきた頃、映像ドラマは大きく変わります。地元テレビ局である放送局が撮影していた事件報道の映像を含めて、事件発生直後から取材を開始した被害者の母親のドキュメンタリー・パートが始まるわけです。

 

母親はこの理不尽な殺害事件に対して、加害者全員の極刑を望みますが、そこに大きく立ちはだかったのは「1人の殺害は無期懲役が妥当」という判例ですが…。この事件に関してはやはり気になるものがあり、大崎善生が著した「いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件」なども読んでいました。すでに加害者の中には死刑に処せられた者もいます。その加害者の再現ドラマを織り込んでいることに、本編の作り手のある種のバランス感覚を感じます。パー

 

(2020年、監督・脚本/齊藤潤一、プロデューサー/阿武野勝彦、撮影/村田敦崇、坂井洋紀、米野真碁、編集/山本哲二、音楽/村井秀清)

おかえり ただいま

 


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