9月後半の4連休に、名古屋のセンチュリーシネマで連続鑑賞した日本映画の2本。1本目の『人数の町』は中村倫也の主演で、衣食住が保証される謎の町を舞台に描くディストピア・ミステリー。2本目の『Daughters(ドーターズ)』は、東京でルームシェア生活を送る2人の女性が、妊娠、シングルマザーという人生の選択を経て、現実と向き合いながら生きていく姿を描いています。ジャンルは異なりますが、『人数の町』の荒木伸二、『Daughters(ドーターズ)』の津田肇ともに初の長編監督作。センチュリーシネマ(シニア会員1,100円×2)。グッド!

 

人数の町

『人数の町』公式サイト

 

以下は映画『人数の町』公式サイトに記載の紹介ストーリー(一部)です。

 

借金取りに追われ暴行を受けていた蒼山(中村倫也)は、黄色いツナギを着たヒゲ面の男(山中聡)に助けられる。その男は蒼山に「居場所」を用意してやるという。蒼山のことを“デュード”と呼ぶその男に誘われ辿り着いた先は、ある奇妙な「町」だった。

 

「町」の住人はツナギを着た“チューター”たちに管理され、簡単な労働と引き換えに衣食住が保証される。それどころか「町」の社交場であるプールで繋がった者同士でセックスの快楽を貪ることも出来る。ネットへの書き込み、別人を装っての選挙投票……。何のために? 誰のために? 住民たちは何も知らされず、何も深く考えずにそれらの労働を受け入れ、奇妙な「町」での時間は過ぎていく。―― 叫び

 

人数の町 

 

蒼山が男に誘われ辿り着いたのは出入りは自由なようですが、決して離れることができないような奇妙な町。互いに誉めあう挨拶を交わし、気が合う男女であればすぐに相手を求めることができる。そこでは社会的なしがらみも不安も存在しない。自由と平等を実現しているような場所といえますが、やはり冷静に考えれば、かなりいかがわしい場所に思えます。グー

 

町の住人たちとの交流を重ねながらも、蒼山はこの町に対する違和感をどこかで引きずっています。やがて、彼は町の新しい住人・紅子(石橋静河)と出会うことになる。彼女は行方不明になった妹(立花恵理)をこの町に探しに来たのだという。ほかの住人たちとは異なり思い詰めた様子の彼女を蒼山は気にかけ、やがて彼女と共にこの町からの脱出を図ります…。

 

監督・脚本は、松本人志出演の「タウンワーク」のCMやMVなどを多数手がけ、本作が初長編監督作品となる荒木伸二。現代社会への警鐘も秘めた、近未来を描く作品に仕上げているように思えます。中村倫也と石橋静河がドラマの軸になっていますが、映画初出演という「ViVi」専属モデルの立花恵理がその肢体と共に女優としての魅力を発揮していました。パー

 

(2020年、監督・脚本/荒木伸二、撮影/四宮秀俊、照明/秋山恵二郎、録音/古谷正志、美術/杉本亮、衣装/松本人美、編集/長瀬万里、音楽/渡邊琢磨)

人数の町

 

                                  

 

Daughters(ドーターズ)

『Daughters(ドーターズ)』公式サイト

 

以下は映画『Daughters(ドーターズ)』公式サイトに記載の紹介ストーリーです。

 

4月の中目黒。桜が並ぶ目黒川沿いのマンションの1室で暮らす友人同士の堤小春(三吉彩花)と清川彩乃(阿部純子)。共に27才。ふたりは、よく働き、よく遊び、自由を謳歌したルームシェア生活を送っていた。そんな生活に、変化が訪れる。あせる


5月のある休日。共にランチへ出かけたその席にて、小春は彩乃から突然の妊娠告白を受ける。そして、その子供を産む決断をすでに下している彩乃。今の生活を続けながら子供を育てていくのは現実的ではない、と反対する小春。だが、彩乃に着いて行った産婦人科医で、胎児の映像を目の当たりにし、そばで支えていく決意を小春は固める。――
 

Daughters(ドーターズ) Daughters(ドーターズ)

 

東京の中目黒にある川沿いのマンションで暮らす小春と彩乃。ふたりは高校時代からの仲良しのようで、現在27歳。それぞれに仕事もプライベートも充実した毎日を送っています。そんなある日、彩乃が小春に妊娠したことを告白する。彩乃は父親の名を明かさないまま子供を生み、シングルマザーとして生きようと決意する。彩乃本人よりも不安を覚える小春です。

 

小春演じるのは『ダンスウィズミー』『犬鳴村』の三吉彩花、彩乃を演じるのはと『ソローキンの見た桜』『海を駆ける』の阿部純子。この作品の中では、共にファッションに関わる仕事に携わっている設定でしたが、そのあたりの映像が洒落た感じだったのは本編が初めての⻑編作品の監督・津田肇がファッションイベントの演出家であることも関係しているのでしょう。

 

目黒川沿いの4月の桜のシーンから始まり、独身の働く女性が母親になるまでの一年間を、友人女性との諍いや和解を交えながら丁寧に綴った作品。還暦オヤジの私も心地よく鑑賞できる映画に仕上がっていました。彩乃の臨月から出産に至るあたりの描写は、あえて避けて飛ばしたという印象がありますが、なかなか巧妙なドラマの展開でラストを迎えます。パー

 

(2020年、監督・脚本/津田肇、撮影/高橋祐太、横山マサト、照明/友田直孝、美術/澁谷千紗、内田真由、ファッションディレクター/岩田翔)

Daughters(ドーターズ)

 


にほんブログ村