本日はいつも通りの勤務で、仕事を終えてからは

伏見ミリオン座で2本の映画を連続鑑賞するという、

ちょっと過酷で、それなりに楽しみの多い週末だったわけですが…。

 

帰りの車中でスマホで見ることになった俳優・渡哲也さんの訃報。

石原プロの解散やご本人の健康問題の報道はありましたから、

どこかで予感はありましたが、やはり辛い現実ですね…。

 

還暦を過ぎた私ですが、もちろん日活を支えるスターとして

活躍した頃の渡さんをリアルタイムでは知っておりません。

1970年代の渡さんの活躍の場は、テレビで高視聴率を取る

石原プロのドラマが“主戦場”になっていたように思います。

 

東映で撮った深作作品『仁義の墓場』や『やくざの墓場 くちなしの花』の

凄みのある演技も印象に残りますが、

私は若い時代に出演していた日活作品の

“はにかむ”ような演技が好きです。

“大根”といわれる演技者であり、スターでもあった存在感のある役者さん。

 

昭和の日本映画の“決定的”なスターがまた一人逝きました。 (合掌)

 

虹

 

以下は2019年4月のブログ記事「『東京流れ者』@ロイヤル劇場/岐阜でもシネマ①」の再掲です。渡さんの歌う画像は、新たに添えました。しばらく口ずさむことになりそうです。

 

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『東京流れ者』(1966年、監督/鈴木清順、原作・脚本/川内康範、撮影/峰重義、音楽/鏑木創、美術/木村威夫、編集/井上親弥)

 

岐阜・柳ケ瀬の”昭和”の映画館・ロイヤル劇場への“プチ遠征”。3月は今村昌平監督の作品『うなぎ』、深作欣二監督の『華の乱』を見て、最後は鈴木清順監督の『東京流れ者』で〆ようと思っていましたが、映画鑑賞の予定は常に気まぐれな気分で変更することになります。あせる

 

名古屋シネマテークの「イスラーム映画祭」の作品鑑賞を優先し、3月最後の週末を“名古屋でシネマ”することにした私は、この鈴木清順監督の代表作を4月になってからの平日の最終上映で見ることに…。上映時間82分のプログラムピクチャー、劇場での最終上映が「17:55」開始なので、仕事後に駆けつけることができました。ロイヤル劇場(料金は一律500円)。

 

東京流れ者

 

今から40年ほど前に東京の名画座で見ている清順映画。自宅にはこの映画のDVDもあり、ほろ酔い気分で見るには最適の映画と思っています。酔いが進むと、思わず主題歌の「東京流れ者」を口ずさんでしまう習慣は抜けていません。その際は、自分が渡哲也が演じる主人公の“不死鳥の哲”になった気分でいます。映画の根源的な快楽を味わっているのです(笑)

 

映画の冒頭は“不死鳥の哲”こと本堂哲也(渡哲也)を、数名の男がとり囲んで袋叩きにするモノトーンの映像。彼らは哲也が属していた倉田組がやくざ稼業から足を洗い、本当に不動産業に代わったかどうか、哲也の反応によって試しているのです。かつての倉田組に喧嘩を売ろうとする大塚組の組長・大塚(江角英明)は哲也の恋人・千春(松原智恵子)にもご執心のようですが、直接的にはその腹心である田中(郷鍈治)が哲也を目の仇にして荒ぶります。

 

さらに伝説の“不死鳥の哲”にライバル心を強く燃やす殺し屋の辰造(川地民夫)も、執拗なほど哲也につきまといます。大塚からの命令もあって最初は動いている辰造ですが、哲也に対する襲撃が思うようにならず、次第に“不死鳥の哲”は自身にとって倒すべき生涯のライバルと思い込むような気持ちになっていく。このあたりの敵役の描写は面白いものがあります。


東京流れ者

さらに、どこまでも“親”である倉田(北龍二)を守ろうとしている哲也ですが、やがて倉田と大塚が手を組み、自分を亡き者にしようとしていることに突き当たります。“流れ流れて”東京に戻ってみれば、そこは倉田と大塚が酒を酌み交わす不思議な白色トーンのバー・シーン。

この時、千春は愛する哲也はすでに亡くなっているという塞いだ気持ちで歌を唄っています。東京の一流クラブの歌手を演じている千春役の松原智恵子ですが、還暦オヤジの私からすると面差しが少女的で、ちょっとビックリしました。ネットで検索すると松原さんは1945年生まれですから、本編の出演時21歳。幼い風情が漂っても当然ですよね。合わせて検索すると主演の渡さんは1941年生まれで、この時25歳。今の時代であれば“アイドル映画”の範疇です。

 

映画は前年にヒットした同名歌謡曲をモチーフに、川内康範が原作・脚本を担当し、鈴木清順監督がメガホンを取ったアクション映画。ハードボイルド風の“東京”を離れると、任侠映画風の“東北”編、そしてコメディ風の“長崎”編と続きます。二十歳の頃に本編を見た時には、長崎・佐世保のバー・シーンでセットを壊していくような荒業の撮影に惚れ惚れしたものです。パー

 

東京流れ者

 


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