ヌーヴェル・ヴァーグ以降のフランスを代表する映画監督フィリップ・ガレル。4月に東京都写真美術館ホールで上映されていたガレル中期の代表作2本ですが、モノクロ映像の『救いの接吻』(1989年)は今回が日本初公開。そして亡き恋人ニコに捧げた『ギターはもう聞こえない』(1991年)の2作品を連続鑑賞です。名古屋シネマテーク(シニア会員1,000円×2)。グッド!

 

救いの接吻

『救いの接吻』『ギターはもう聞こえない』公式サイト

 

以下は映画『救いの接吻』公式サイトに記載のコピーと紹介ストーリー(一部)です。

 

愛とは何か、どう愛を持続すべきか、愛と物語の関係は……
愛と創作をめぐる果てなき対話が、新たな物語をつくりだす

 

新作の準備を進めていた映画監督のマチューは、主役を別の女優に決めたことで、妻で女優のジャンヌから激しい糾弾を受ける。自分をモデルにした役を別の女優が演じることを自分への裏切りと受け止め、夫に別れを突きつけるジャンヌ。突然の別離に苦悩しながら、妻と息子とどう向き合うべきかを逡巡するマチュー。果たしてふたりの愛は途絶えてしまったのかはてなマーク

 

救いの接吻

 

新作の準備を進めていた映画監督マチュー(フィリップ・ガレル)は主役を別の女優に決めたために、妻で女優のジャンヌ(ブリジット・シィ)から激しく糾弾される。そこから愛の終わりとその持続について苦悩し、語り合うマチューとジャンヌ。映画監督と女優であり、夫と妻、そして息子(ルイ・ガレル)の父と母でもある2人の対話は、飽くことなく延々と続いていくのです。あせる

 

崩壊の危機にある家族の物語を、ガレル監督本人をはじめ当時のパートナーである女優ブリジット・シィ、息子ルイ・ガレル、実父モーリス・ガレルら、実際の家族たちの出演で撮り上げた「愛」をめぐる対話劇といった趣の作品です。時に美しいモノクロームの映像に目を奪われることがありましたが、そこで繰り返されているのは「愛」にまつわる崇高な対話なのです…。

 

ガレル監督本人は自らの作品を振り返って、この時期の作品を「自伝と台詞の時代」と語っています。詩人で小説家のマルク・ショロデンコによるダイアローグを、自身の映画作品に取り入れた最初の作品が本編ですが、私は字幕を読み解釈するのに少し疲れました…(汗)。パー

 

(1989年、監督・脚本/フィリップ・ガレル、台詞/マルク・ショロデンコ、撮影/ジャック・ロワズルー、編集/ソフィー・クッサン、音楽/バルネ・ウィラン)

救いの接吻

 

                                                 

 

ギターはもう聞こえない

『救いの接吻』『ギターはもう聞こえない』公式サイト

 

以下は『ギターはもう聞こえない』公式サイトに記載のコピーと紹介ストーリー(一部)です。

 

「僕のそばで死ぬより、離れて生きてくれ」
陰惨で、貧しく、切実な、けれど美しい愛の記憶たち
 

海辺の町で共同生活を送るジェラールとマリアンヌ、マルタンとローラの二組のカップル。彼らはやがて破局を迎えるが、マリアンヌはジェラールの元へ戻ってくる。だがパリで暮らす二人は次第にドラッグに溺れ、生活は困窮を極めていく。最終的に別れを選んだジェラールは、アリーヌと出会い息子を授かる。そんなジェラールの元に、ある日、マリアンヌの訃報が届く…。

 

ニコの分身ともいえるマリアンヌ役を演じるのは、『愛の誕生』(93)にも出演したオランダ出身の女優ヨハンナ・テア・ステーゲ。その恋人であるジェラール役を94年に急逝した『トリコロール/青の時代』(93)のブノワ・レジャンが演じている。――

 

ギターはもう聞こえない

 

1980年代最後の作品が『救いの接吻』で、続いて発表された映画『ギターはもう聞こえない』は1991年の作品。モノクロの映像からカラーに転じていますが、本編の撮影監督は今やフランス映画界を代表する存在のカロリーヌ・シャンプティエ。前作に引き続き、マルク・ショロデンコによる印象的な台詞の数々が作品に織り込まれていて、そこで解釈が必要になります。

 

一度は別れたジェラールとマリアンヌはパリで再び一緒に暮らし始めますが、次第にドラッグに溺れ、生活は困窮を極めていく。やがてマリアンヌとの別離を決意し、新しい家庭を持ったジェラールのもとに、ある日マリアンヌの訃報が届く…。フィリップ・ガレルが前妻ニコの急逝直後に製作した、極めて私的なラブストーリーと言われています。どうやらフランス人の映画監督にとっては、自身の恋愛が創作の大きなエネルギー源になっているのは間違いないです。

 

私的な愛の物語から映画作りがスタートしても、描かれる世界に普遍性があればいいのでしょう。別れて時が経ていても、愛した人の死はやはり心を痛めるものです…。マリアンヌを演じるヨハンナ・テア・ステーゲという女優に“見覚え”感があったのですが、鑑賞後に今年見たサスペンス映画『ザ・バニシング 消失』(1988年)の失踪ヒロインと知り、すっきりしました。パー

 

(1991年、監督・脚本/フィリップ・ガレル、脚本/ジャン=フランソワ・ゴイエ、台詞/マルク・ショロデンコ、撮影/カロリーヌ・シャンプティエ、音楽/ファトン・カーン)

ギターはもう聞こえない

 


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