今年度の「午前十時の映画祭」で最も見たかった作品といえる『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年)。セルジオ・レオーネの遺作となった本編は、公開当時は未見ですし、DVDなどで視聴したこともありません。日本で初公開された際は上映時間205分。それより先行して上映されたカンヌ国際映画祭では229分の上映で、今回はさらに当時カットされたシーンを復元しての“最長版”ということで上映時間は251分。レオーネ監督は黄泉の国でも、その作品に手は加わるんですね。劇場はミッドランドスクエアシネマ(シニア当日1,100円)。グッド!

 

午前十時の映画祭

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年、監督・脚本/セルジオ・レオーネ、撮影/トニーノ・デリ・コリ、編集/ニーノ・バラリ、音楽/エンニオ・モリコーネ)

 

以下は「午前十時の映画祭9」の公式サイトに記載されている映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の紹介ストーリーと解説です。

 

ヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)、マックス(ジェームズ・ウッズ)ら4人のギャングたちは、禁酒法下、もぐり酒場の経営で大成功を収め、裏社会で名を馳せた。マックスは次なる計画として巨大銀行襲撃を決断するが、ヌードルスは権力志向に凝り固まったマックスと相容れず、袂を分かつことに。仲間たちの身を案じ、ヌードルスはあえて襲撃計画を密告するが、その願い虚しく3人の仲間たちは待ち伏せしていた警官隊に射殺されてしまう―。

 

あるユダヤ系ギャングの数十年に及ぶ友情と裏切りの記憶を、バイオレントかつノスタルジックな夢のように綴った巨篇。クリント・イーストウッド主演のマカロニ・ウエスタン3部作で世界的なヒットを飛ばした巨匠セルジオ・レオーネの遺作にして一世一代の超大作。哀切のメロディは『ニュー・シネマ・パラダイス』のエンニオ・モリコーネ。音譜

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

 

物語の中心になる人物は、ニューヨークで暮らすユダヤ移民の子デヴィッド・アーロンソン、通称ヌードルス。映画は彼の少年期のドラマ、青年になってからのドラマ、そして60代の老年を迎えてからのドラマ、この3つの時代が巧妙に行き交いながら展開します。主演のロバート・デ・ニーロは青年時代も老年期も演じていますが、その役者ぶりには本当に感心します。

 

1923年、17歳のヌードルスはブロンクスからやって来たマックスと出会い、最初こそいがみ合うものの、やがては友情で結ばれる。パッシィー、コックアイ、年少のドミニクらの仲間と共に、禁酒法の時代に次第に犯罪行為に身を染めていく少年たち。皆で稼いだ金は共同のものとして駅のロッカーに常置しておくことを誓い合いますが、すぐに大きな試練がやって来ます。パンチ!

 

彼らの存在を疎ましく思っていた地元やくざバグジーの襲撃で、仲間の一人ドミニクが殺されてしまうのです。怒りに駆られたヌードルスはその場でバグジーを刺し殺し、警察に捕えられる。刑期は6年ほどですが、刑務所から出てきたヌードルスも、迎えに来たマックスも成長して様変わりしています。もちろん演じる役者が代わっていますから、当然といえば当然…(笑)

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ


映画は老け込んだヌードルスが再びニューヨークに戻ってくる場面から始まりますが、その後は彼の青年期そして少年期と、時代は行き交いますから最初の1時間ほどは、この展開に多少の戸惑いがありました。そして映画を見終えてみれば、1920年代から30年代にかけての少年たちの無邪気な時代に多くの尺を費やしていた印象があります。その時代のヌードルスにとって欠かすことのできないのは、女優になることを夢見て努力を続けるデボラという存在。

 

デボラの少女期を演じているのはジェニファー・コネリーで、成長してからはエリザヴェス・マクガヴァンが演じています。彼女とヌードルスは両想いの関係ですが、犯罪の世界に足を踏み入れていくヌードルスに対し、デボラは自身の夢を優先してハリウッドへ行くことを決意する。この二人の別れに至るシーンの痛々しさは、あまり映画で経験したことのないものでした。あせる

 

アメリカ社会の裏社会で生きてきた主人公の自悔とノスタルジーの想いが漂う作品で、アメリカの20世紀、暴力的な勢力が社会の裏面で暗躍していた時代を描いています。そして作品は、若い頃の憧れの女性への想いが大きく支配するようでありながら、見る者の予想を裏切る展開になります。エンディングを迎えれば、実は本当に主人公の気持ちが向かっていた相手は、自身にニューヨークに戻るための手紙を送った“ある人物”ということに気づきます。パー

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

 


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