ナチス第三の男

『ナチス第三の男』公式サイト

 

ナチス・ドイツでヒトラー、ヒムラーに続く「第三の男」と称されたラインハルト・ハイドリヒと、彼の暗殺を実行した青年たちについて綴ったローラン・ビネの小説を映画化した作品『ナチス第三の男』。ハイドリヒを『猿の惑星:新世紀(ライジング)』のジェイソン・クラークが演じ、その妻をロザムンド・パイク、暗殺者をジャック・オコンネル、ジャック・レイナーらが演じています。

 

映画の前半はハイドリヒという冷酷非情な人物な“成り立ち”を描写していきますが、後半はまったく立場を変えて、暗殺計画の実行者となる亡命チェコスロバキア軍人の若者たちの視点で綴られます。後半の暗殺とその後の粛清のドラマは2年前に見た映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』(2016年)がオーバーラップしました。監督は『フレンチ・コネクション 史上最強の麻薬戦争』のセドリック・ヒメネス。伏見ミリオン座(シニア会員1,000円)。グッド!

 

ナチス第三の男

 

以下は映画『ナチス第三の男』公式サイトに記載の紹介ストーリー(一部)です。

 

1930年9月、ヒトラー率いるナチス党は、世界恐慌以降のドイツ国民の社会不安を背景に支持を拡大させ、大躍進していた。海軍士官学校を経てキールのバルト海海軍基地に通信将校として勤務していたラインハルト・ハイドリヒ(ジェイソン・クラーク)は、社交場で出会った貴族階級のリナ・フォン・オステン(ロザムンド・パイク)にたちまち心を奪われ婚約を決意するが、奔放な女性関係からある娘の父親で海軍上層部にコネクションがあるという男から訴えられ、不名誉除隊を余儀なくされる。DASH!

 

自分の拠り所である軍籍をもぎ取られ、怒りに震えるハイドリヒだったが、確信的なナチ党支持者である婚約者リナの励ましに奮い立ち、ナチス党親衛隊(SS)指導者ハインリヒ・ヒムラー(スティーブン・グレアム)との面接の機会を得る。党内に侵入した「敵」を摘発するために、SS内部に情報部を創設しようと考えていたヒムラーは、ハイドリヒのその試験での優れた出来栄えに感銘を受け、即日、情報部立ち上げを任せたのである。―― 

 

ナチス第三の男

 

本編の後半のドラマ、ハイドリヒ暗殺計画の準備・実行からその後のナチスの報復の描写は先に見ていた『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』とほぼ同じ内容ですから、その悲劇的な結末は予測がつきます。チェコ領内に潜入したヤン(ジャック・オコンネル)、ヨゼフ(ジャック・レイナー)の二人は、ハイドリヒの行動や習慣を徹底的にマークし襲撃の機会を伺う。その間にヤンが協力者の女性(ミア・ワシコウスカ)と恋愛関係に至るのも同様の展開です。

 

そして1942年5月27日、ハイドリヒ暗殺計画は実行される。無謀ともいえる計画は危うくも成功しますが、その行為に激怒したナチスは容赦のない報復に乗り出す。報復の徹底ぶりは凄まじく、ヤンやヨゼフたち実行部隊はプラハの中心部の教会の地下室にかくまわれるも、やがて親衛隊が暗殺計画の支援者を拷問にかけたことで、居場所を突き止められてしまう…。あせる

 

後半のドラマの展開が予測がついたからではありませんが、この映画で私自身が大きく興味を引かれたのは、ナチ党に入党したハイドリヒが出世欲にも駆り立てられて、ナチ運動に没頭していく映画の前半。最初は強気で自信家の妻に従っていた彼が、党内での立場を高めるとともに彼女を隷属的に扱う描写は面白かったです(笑)。貴族出身でナチ党の信奉者の妻役を演じているのが、『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクだったのも良かったですね~。パー

 

 

(2017年、監督・脚本/セドリック・ヒメネス、原作/ローラン・ビネ、脚本/オドレイ・ディワン、デビッド・ファー、撮影/ロラン・タニー、編集/クリス・ディケンズ)

ナチス第三の男

 

ナチス第三の男

 


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