未来を乗り換えた男

『未来を乗り換えた男』公式サイト

 

少し足が遠のいていた名古屋・栄の名演小劇場へ、ドイツの名匠クリスティアン・ペッツォルト監督の新作『未来を乗り換えた男』を見に出かけました。『東ベルリンから来た女』『あの日のように抱きしめて』で歴史に翻弄された人々の数奇な運命を描いたペッツォルト監督の新作は、原作が1930~40年代にかけてナチス政権下のドイツから亡命した小説家アンナ・セーガースによる「トランジット」という作品。戦時下の亡命者のドラマを、現代のマルセイユの街で撮影するという大胆な試みをしています。劇場は名演小劇場(土日の会員シニア1,100円)。グッド!

 

未来を乗り換えた男

 

以下は映画『未来を乗り換えた男』公式サイトに記載のコピーと紹介ストーリーです。

 

ナチスによる悪夢的史実と現代の難民問題を驚くべき発想で重ね合わせた野心作ビックリマーク
祖国を追われた人々が希望のありかを見つけようとする姿をサスペンスフルに描いた、
私たちが今観るべき物語。

 

現代のフランス。祖国ドイツで吹き荒れるファシズムを逃れてきた青年ゲオルク(フランツ・ロゴフスキ)が、ドイツ軍に占領されようとしているパリを脱出し、南部の港町マルセイユにたどり着いた。行き場をなくしたゲオルクは偶然の成り行きで、パリのホテルで自殺した亡命作家ヴァイデルに成りすまし、船でメキシコへ発とうと思い立つ。

 

そんなとき一心不乱に人捜しをしている黒いコート姿の女性とめぐり合ったゲオルクは、美しくもミステリアスな彼女に心を奪われていく。しかしそれは決して許されず、報われるはずのない恋だった。なぜなら、そのマリー(パウラ・ベーア)という黒いコートの女性が捜索中の夫は、ゲオルクが成りすましているヴァイデルだったのだ……。ドンッ

 

未来を乗り換えた男

 

いつものことながら映画を見るまでは、あまり作品に関する情報を仕入れる“予習”をしない私です(汗)。このペッツォルト監督の作品を見ようとした動機づけとしては、やはり先に見ている『あの日のように抱きしめて』の印象が良かったのが第一です。それと今回の新作に関しては、男女の“すれ違い”のメロドラマが好きな私の“触覚”に触れるものを感じたからです。ハートブレイク

 

ドイツ人青年ゲオルクはパリのホテルで自殺した作家ヴァイデルに成りすまし、船でメキシコに亡命しようとマルセイユにやってくる。そこで謎めいた女マリーに出会う。実は彼女はヴァイデルの妻で、自分が捨てた夫を探して街をさまよっているのです。マリーを最初に見た時から彼女に魅せられているゲオルクは、彼女と共にメキシコへ脱出を図ろうとするのですが…。

 

舞台となっているマルセイユはファシズムによって占領されたという設定ですが、それは1940年代のことではなく、そのまま架空の“現代”に置き換えられています。映画のチラシには「悪夢的史実と現代の難民問題を驚くべき発想で重ね合わせた野心作」との惹句が躍っていますが、映画の鑑賞時点では何の予備知識もありませんから、少しばかり戸惑いを覚えました。

 

この映画に登場してくるのは、国家といった確固たる共同体に所属することができていない人たち。不法滞在により拘束されることを恐れながら、日々“亡命”のために行動をしています。やがて物語は、ゲオルクとマリーが共にメキシコへ向かう…そんな展開から急転直下します。そのラストに至ってのビターな味わいは、“すれ違い”のメロドラマ好きとしては◎です。パー

 


(2018年、監督・脚本/クリスティアン・ペッツォルト、原作/アンナ・ゼーガース、撮影/ハンス・フロム、編集/ベッティナ・ボーラー、音楽/シュテファン・ビル)

未来を乗り換えた男

 

未来を乗り換えた男

 

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