名画座手帳


昨年11月に帰省した娘夫婦。その折に「来年の手帳だけど使う?」と軽く渡されたのが、この「名画座手帳2019」です。1週間単位のスケジュール・ページが2頁で展開し、それぞれにフリーな記入スペースが2頁セットになっている構成の手帳。記入するスペースがしっかりありますから、年が明けてからは劇場で鑑賞した映画のことは逸早くこの手帳に記入しています。

 

もちろんそのタイトル通り、東京の名画座の情報もしっかり掲載していますが、それは地方の住人にとってはあまり有用ではありません。映画ファンとして日々飽きないのは、365日それぞれの日に誕生した映画人、亡くなった映画人の名前をこまめに記載していることです。ちなみに本日1月31日の欄は木暮実千代(俳1918) 成田三樹夫(俳1935) 伊藤孝雄(俳1937) 芥川也寸志(音1989)」となっています。本日は存命であったなら84歳を迎えている成田三樹夫の「俳句」の紹介です。(手帳の4月9日の欄には「成田三樹夫(俳1990)」とあります) ショボーン

 

成田三樹夫

 

先にブログに紹介しているのは小津安二郎監督の俳句ですが、その際にネットで買い求めた雑誌「俳句界」バックナンバーに掲載の俳優・成田三樹夫の俳句を、そのまま記載します。

 

   肉までもぬいだ寒さで餅をくい

   奴の背中におぶさっていたあの異形のもの

   人々の万化の風に押されて歩む

 

   煙草のけむりたなびく方に命たなびき

   名もない星にぽとりとおちる

   鯨の背のぐいと海切る去年今年

 

     俳句界

 

昨年11月になる頃から俳句作りに目覚めた私ですが、今は映画鑑賞の合間に「歳時記」を一生懸命に“斜め読み”しているような日々です。そんな俳句の“いろは”を十分に知らない私にも、成田三樹夫“ミッキー”の俳句には季語が見られないし、五・七・五の定型に収まっていないことはすぐにわかります。残念ながら私の俳句の“師匠”にはなりえない“ミッキー”です。

 

それでも、「人々の万化の風に押されて歩む」とか「煙草のけむりたなびく方に命たなびき」など自身の内面の言葉を吐くような詩的な世界は、役者としての成田三樹夫を知っているだけに、そこにある種の“覚悟”というか生き様のようなものを感じるのです。役者がすべて孤独とは思いませんが、成田三樹夫は間違いなく孤独な世界を力強く生きていたのだろうと思います。「名もない星にぽとりとおちる」、こんな自由で詩的な俳句を作れることに憧れます。パー

 

成田三樹夫

 

 

小津監督の俳句紹介の記事と同様、今回も私が年明け後に作った俳句を添えます。ウインク

     

        大ぶりの蜜柑ひんやり仏前に

        子が巣立ち独りゆるりと寝る炬燵

        大寒や行火火傷の古き痕

        週末は手編みマフラーの愛情

 

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