祈り『祈り 三部作』公式サイト

 

懺悔

『懺悔』(1984年、監督・脚本/テンギズ・アブラゼ、脚本/ナナ・ジャネリゼ、レヴァズ・クヴェセラワ、撮影/ミハイル・アグラノヴィチ、美術/ギオルギ・ミケラゼ)

 

ジョージア(グルジア)映画界の巨匠テンギズ・アブラゼ監督の『祈り 三部作』の連続上映ですが、私が最後に見たのは旧ソビエトの検閲下、1984年に製作された『懺悔』です。結果として私の『祈り 三部作』の鑑賞は、その製作年度順に『祈り』→『希望の樹』→『懺悔』と辿ることになりましたが、3作品を見終えて日本での公開順に『希望の樹』→『懺悔』→『祈り』と見た方が良かったかな…などと感じています。いきなりの『祈り』に戸惑いがありましたから。

 

映画の鑑賞前にあまり情報を仕入れない私ですが、映画を見終えてブログの記事を書く際には少しだけ“学習”(?)をすることがあります。テンギズ・アブラゼ監督の『祈り 三部作』については、最初の作品『祈り』を見た時点で岩波ホールが出している“三部作”のパンフレットを購入しました。見たばかりの作品に大きく感動したからということではなく、自分に“学習”の必要があることを如実に感じましたので…。 名古屋シネマテーク(シニア会員1,000円)。グッド!

 

懺悔 懺悔

 

映画の舞台はソビエトらしき国なのですが、架空の地方都市という設定です。偉人として称えられている元市長(アフタンディル・マハラゼ)の墓が何者かに掘り起こされ、その遺体が晒された状態で放置される事件が起きます。やがて犯人の女性ケテヴァン(ゼイナブ・ボツヴァゼ)は捕らえられますが、彼女は生前の市長の独裁により家族を失った過去を強く訴えます。

 

ケテヴァンが法廷で元市長の粛清の過去を告発し、埋もれつつあった多くの市民が粛清された悲劇の歴史を明らかにしますが、その対抗措置に懸命に動くのが元市長の息子です。その裁判劇は“権力”の近くにいる者に有利に進むかのようですが、裁判を傍聴していた元市長の孫トルニケ(メラブ・ニニゼ)は祖父の行為を大きく恥じ、思いつめて自死の道を選びます―。

 

父である元市長とその息子の役はアフタンディル・マハラゼという役者が二役で演じています。独裁者を演じている時の“ちょび髭”に私はヒトラーを想起しましたが、監督の意図としては自国のグルジア出身の独裁者スターリンの粛清を喚起させる狙いがあったよう。スターリンの立派な“カイゼル髭”にしなかったのは、本当に微妙なカモフラージュに過ぎません。パー

 

懺悔

 


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