3月最後の土曜日は、健康診断の結果を受けて胃カメラを“飲む”日でした。前日からの絶食は当然ですから、診療後にはしっかり食事をして映画を見ようと心に決めていました。当日は病院から歩いて行ける場所の名演小劇場で、中央アジアに位置するキルギスを舞台にした『馬を放つ』とイギリス産のドキュメンタリー『大英博物館プレゼンツ 北斎』を連続鑑賞。

 

『馬を放つ』はキルギスの名匠アクタン・アリム・クバト監督がメガホンを取り、自ら主演を務めた寓意に満ちた作品。『大英博物館プレゼンツ 北斎』は2017年に大英博物館で開催された展覧会「Hokusai: Beyond the Great Wave」にスポットを当て、展覧会の舞台裏や北斎の芸術性を語るドキュメンタリー映画です。名演小劇場(『馬を放つ』は土日の会員シニア1,100円、『大英博物館プレゼンツ 北斎』の鑑賞には会員更新時の無料招待券を利用)。グッド!

 

馬を放つ

『馬を放つ』公式サイト

 

以下は映画『馬を放つ』公式サイトに記載のコピーと紹介ストーリーです。

 

美しき伝説が消えゆく時、馬は放たれる――。
未来へ希望を託す、現代の寓話。

 

中央アジアの美しい国、キルギス。 妻、幼い息子と3人で慎ましく暮らす男は、村人たちから“ケンタウロス”(アクタン・アリム・クバト)と呼ばれていた。そんな彼には誰にも打ち明けていない秘密があった――。


豊かな大地を馬で駆け、自然の恵みを受けてきたキルギスの民。遊牧民を祖先にもつ彼らの間には、馬と人間を結び付け、村人たちを団結させてきた伝説が息づいていた。しかし、時は流れ、暮らしは変わり、人々の記憶から伝説は消えようとしていた。そんな伝説をある理由から強く信じているケンタウロスは、人知れず行動にでるのだが…。爆弾

 

馬を放つ 馬を放つ

 

キルギスのある村。村人たちから“ケンタウロス”と呼ばれている物静かで穏やかな男は、妻と息子の3人でつつましく暮らしていた。中年の風情が漂う彼が、言葉を発することができない若い妻を娶ることになったのは、親族の実力者の紹介であったことがその後のドラマの中で語られます。彼にとっての気がかりは、幼い息子がなかなか言葉を発しないことです。あせる

 

しかし、そんな彼には誰にも明かせない秘密がある。 騎馬遊牧民を先祖に持つキルギスに古くから伝わる伝説を信じる彼は、人々を結びつけてきた信仰が薄れつつあることを感じ、夜な夜な馬を盗んでは野に解き放っているのです。次第に馬泥棒の存在が村で問題になり、犯人を捕まえるため罠が仕掛けられ、その罠にはまってケンタウロスは捕えられてしまいます。

 

彼に対するキルギスの村の“裁判”は実に鷹揚なものですが、騎馬遊牧民を先祖にする者と異なる人々ではそこに大きな“温度差”がある感じです。そして自身のルーツともいうべき遊牧民の伝説にとらわれているケンタウロスが、物語の最後にたどり着くのは悲劇的なものです。時を同じくして息子が初めて言葉を発しますが、その秀逸なラストに、私は涙ひと筋です。パー

 

(2017年、監督・脚本・主演/アクタン・アリム・クバト、脚本/エルネスト・アブドジャパロフ、撮影/ハッサン・キディラリエフ、編集/ピーター・マルコビッチ)

馬を放つ

 

                                  

 

大英博物館プレゼンツ 北斎

『大英博物館プレゼンツ 北斎』公式サイト

 

以下は映画『大英博物館プレゼンツ 北斎』公式サイトに掲載されている作品紹介の文章(一部)です。

 

本作『大英博物館プレゼンツ 北斎』は2017年5月~8月にかけて大英博物館で開催された展覧会“Hokusai: Beyond the Great Wave”をフィーチャーし、展覧会の舞台裏や北斎の作品を今までにない驚くべき詳細さで体験することができる、北斎に関する映画としては初の長編ドキュメンタリーである。ひらめき電球

 

同展覧会では希少な初の展示物を始め、北斎の生涯、特に肉筆画を中心に還暦以降の30年に焦点を当て、90歳まで描き続けた北斎が追い求めた世界に迫る。日本、フランス、イギリスをめぐり、最新技術で撮影された北斎に纏わる奥行きのある映像も見逃せない。――

 

大英博物館プレゼンツ 北斎

 

2017年5~8月に大英博物館で開催された展覧会にスポットを当て、大行列となった展覧会の舞台裏や、北斎の作品をこれまでにない詳細さで紹介したドキュメンタリー映画。日本、米国、イギリスで撮影されたこのドキュメンタリーには、展覧会を担当したキュレーター、ティム・クラーク、そして北斎の研究に50年近く情熱をささげてきた学者ロジャー・キースも登場する。

 

江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の実態を知るために、木版や絹に描かれた絵画を再現する日本の職人技を通して、北斎の崇高な芸術を紐解いていく。また、イギリス人芸術家デイヴィッド・ホックニーをはじめ、北斎研究に情熱を燃やしてきた学者やアーティストたちが協力。

 

ホックニーは「偉大な芸術家は年を重ねるごとに進化する」という北斎の信念を交えながら、北斎の長きに渡った意欲的な芸術活動に迫ります。その北斎の最晩年の作品も映像に映し出されますが、たしかに老いを感じさせない絵画の世界でした。日本国内向けに作られた映像作品ではないと思いますが、北斎に対する大きな賛辞に満ちた映像作品に仕上がっており、日本人としては嬉しい反面、ちょっと面映ゆいようなドキュメンタリー作品であります。パー

 

(2017年、監督/パトリシア・ウィートレイ、提供/大英博物館、ナレーション/アンディ・サーキス)

大英博物館プレゼンツ 北斎

 

大英博物館プレゼンツ 北斎

 


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