クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

『牯嶺街少年殺人事件』公式サイト http://www.bitters.co.jp/abrightersummerday/

 

エドワード・ヤン監督の映画は『恐怖分子』(1986年)、『ヤンヤン 夏の想い出』(2000年)と見る機会を得ています。そのヤン監督の代表作『牯嶺街少年殺人事件』(1991年)についてマーティン・スコセッシ監督は「夭折した映画監督エドワード・ヤン監督の最高傑作だ」とまで言っている。デジタルリマスター版3時間56分の上映は、私には“見るっきゃない!”気分でした。

 

作品の情報を事前に仕入れない私は、この映画のタイトルにある「少年」は殺人に遭った被害者なのか加害者なのか、そんなことすら知りませんでした(汗)。名古屋での公開劇場は名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマ。会員になっている私は、会員サービスデーの日にちまで待って劇場へ出かけましたが、これが一切の割引サービスなしの“特別興行”。2,200円の入場料金を支払っての鑑賞となりましたが、この映画を1,100円で見たら申し訳ないですね。グッド!

 

クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

 

以下は映画『牯嶺街少年殺人事件』公式サイトに記載のコピーと紹介ストーリーです。

 

この世界は僕が照らしてみせる。

自分たちの手で未来は変えられると信じて―

 

1960年代初頭の台北。建国高校昼間部の受験に失敗して夜間部に通う小四(シャオスー)は不良グループ〝小公園“に属する王茂(ワンマオ)や飛機(フェイジー)らといつもつるんでいた。 小四はある日、怪我をした小明(シャオミン)という少女と保健室で知り合う。彼女は小公園のボス、ハニーの女で、ハニーは対立するグループ〝217”のボスと、小明を奪いあい、相手を殺して姿を消していた。ハニーの不在で統制力を失った小公園は、今では中山堂を管理する父親の権力を笠に着た滑頭(ホアトウ)が幅を利かせている。

 

小明への淡い恋心を抱く小四だったが、ハニーが突然戻ってきたことをきっかけにグループ同士の対立は激しさを増し、小四たちを巻き込んでいく。。。 爆弾

 

クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

 

映画は1991年の製作で日本では翌92年に公開され、その際は上映時間188分のバージョン。今回のリマスター版はその初公開時の映像に、さらに50分ほどの映像シーンが加えられていることになります。インターミッション(休憩)なしの4時間近い上映でしたが、その上映時間の長さを感じることなく、1960年代の台湾社会・中学生たちの世界を彷徨するような感じでした。

 

タイトルになっている「殺人事件」は1961年の夏、14歳の少年が同い年のガールフレンドを殺害したというもので、台湾で初の未成年による殺人事件としてセンセーショナルに報道されたようです。当時“少年”と同世代だったヤン監督が30年の時を経て、1960年前後の台湾の社会とそこに漂う空気感を“少年”を軸にした恋愛・友情・家族のドラマとして描写しています。カチンコ

 

公式サイトに紹介された内容からすると、主人公シャオスーを中心にした、いかにも青春群像劇というイメージです。しかし映画の中では、1940年代後半に中国から台湾に移ってきた“外省人”の父親の苦悩、そして家族を取りまく閉塞感のようなものも丹念に描かれていた印象です。ヤン監督自身の“回顧”的な要素もありそうですが、描かれている世界は実に豊饒です。

 

主人公シャオスーたちが過ごす昼間の学校シーンは、光量も豊かでスクリーンばえする明るい映像です。一方、夜を迎えると画像は暗く、登場人物の表情も読み取りづらくなります。そういえば私が幼い1960年代の日本も、街灯の普及はまだまだで住む町を取りまく闇は深かったように思います。その頃の日本は、まだ確実に“戦後”の空気が漂っていたともいえます。パー

 

 

(1991年、監督・脚本/エドワード・ヤン、脚本/ヤン・ホンカー、ヤン・シュンチン、ライ・ミンタン、撮影/チャン・ホイゴン、編集/チェン・ポーウェン、音楽/チャン・ホンダ)

クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

 

クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

 


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