幸せなひとりぼっち

『幸せなひとりぼっち』公式サイト http://hitori-movie.com/

 

フレドリック・バックマンが自身の父親をモチーフに描いたベストセラー小説を映像化したスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』。愛妻を亡くして人生に絶望した偏屈な老人が、隣人の家族との交流を通して徐々に心を開いていく、心温まる人間ドラマです。2015年のクリスマスの時季にスウェーデンで公開された作品が、およそ1年遅れて日本にやって来たわけです。

 

映画が始まってすぐに驚くことになったのは、主人公のオーヴェの年齢です。宣伝チラシから引きます。「オーヴェ、59歳、ひとりぼっち。43年勤めた会社を突然クビに。愛する妻にも先立たれ、哀しみに暮れていた。」 あと3ヵ月も経てば59歳になる私です(汗)。主人公オーヴェがあまりに“老人”過ぎるので軽いショックを受けました。自分はそれなりに年は取っていても、まだ“老人”との自覚がないものですから…。名演小劇場(土日のシニア会員1,100円)。

 

幸せなひとりぼっち

 

以下は映画『幸せなひとりぼっち』の宣伝チラシに記載のコピーと紹介ストーリーです。

 

まっすぐ、懸命に妻を想うオーヴェに、拍手喝采!

 

自治会のルールは厳格に守る。他人の車の駐車にいちいち口を挟む。何かと文句の多いオーヴェ(ロルフ・ラスゴード)は近所の鼻つまみ者。しかし家に帰れば孤独に苛まれてたちまち気が弱くなり、亡き妻の思い出がよみがえり涙を流す。そんな時、オーヴェの郵便受けに車をぶつけてしまったのが、隣に引っ越してきた主婦のパルヴァネ(バハー・パール)とその家族。

 

オーヴェはパルヴァネを罵るが、「車の運転を教えてくれない?」と言われたら断れない。悪態はいつしか愛嬌となり、パルヴァネに本音を語り出す―。かつての彼は妻を愛する優しい人間だった。ある衝撃の事件のせいで二人の運命は大きく変わったのだった。 ドンッ


オーヴェは43年間、鉄道局職員として働いていましたが、突如クビを宣告されてしまう。家に帰れば、亡き妻の面影ばかりが蘇えります。孤独に耐え切れなくなった彼は、自宅の天井にロープをかけ、首つり自殺を図ろうとするのですが、ちょうどその時、向かいのテラスハウスへ引っ越してきたパルヴァネ一家の騒がしい声がオーヴェの耳に飛び込んできます。一家の車がオーヴェの家の郵便受けにぶつかってしまい、自殺どころではなくなってしまうのです。あせる

 

幸せなひとりぼっち

 

翌日、迷惑をかけたと思ったパルヴァネは、お詫びの印にペルシャ料理をオーヴェの家に届けに来ます。愛する妻のもとへ旅立とうと画策しているオーヴェですが、その絶妙のタイミングを見計らったかのように、この迷惑でお節介な新たな隣人はやって来るのです。オーヴェの妻のもとへ逝くという自殺願望とその計画は、パルヴァネとその家族によって頓挫し続けます。

 

前半の偏屈者のオーヴェとパルヴァネ一家との交流は、自殺を意図するシーンが繰り返されながらも笑いを生み出すようなシーンが多いです。私も含めて年齢の高めの観客からは、はじけるような笑いは起こりはしませんが…(汗)。そして、生き方も考え方も異なるオーヴェとパルヴァネとの間に、思いがけない友情めいた感情とつながりが出来はじめていくのです。頑固だったオーヴェも、妻が生きていた頃のように近所の隣人と関わり合うようになっていきます。

 

やがてオーヴェは妻ソーニャ(イーダ・エングヴォル)との出会い、そして妻と自分の人生を一変させた出来事についてパルヴァネに語り始めるのです。この回想シーンのオーヴェの若々しさは、同一人物とは思えないほどですが(笑)、若い時の姿しか見せない奥さんは実にチャーミングです。あまりにも可愛すぎて、59歳のオーヴェとなかなか結び付きませんでした。パー

 

 

(2015年、監督・脚本/ハンネス・ホルム、原作/フレドリック・バックマン、撮影/ゴラン・ハルベルグ、音楽/ガウト・ストラース、)

幸せなひとりぼっち

 

幸せなひとりぼっち

 


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