明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
と儀礼的なごあいさつをするわけですが、いつも事前に書いた記事の予約更新を
しているわけで、この映画を見たのも記事を書いているのも実は旧年中のことに
なります。あしからずご了承ください。そして、今年も映画館で見た作品は必ず
ブログに記事にするつもりでおりますので、時に年寄りの冷や水のような作品の
記事もあるかもしれませんが、どうぞ温かく見守ってください。で、2014年の最
初がその「冷や水」のような映画『ブリングリング』です。センチュリーシネマ。

ブリングリング  『ブリングリング』公式サイト

ブリングリング 

舞台はハリウッドスターや人気モデルが数多く暮らす、ロサンゼルス郊外の高級
住宅地カラバサス。この地で実際に2008~09年に起きたセンセーショナルな窃盗
事件を描いているが、その窃盗グループは女4人と男1人のティーンエイジャー。
「ブリング・リング」(=キラキラしたやつら)と呼ばれる彼女らは、ハリウッド・
セレブの豪邸をインターネットで調べ、次々に侵入を繰り返しては窃盗を行う。

ニッキー(エマ・ワトソン)は血のつながらない妹のサム(タイッサ・ファーミガ)
や末の妹と共に、学校へは通わず、自宅で母親のローリー(レスリー・マン)から
何やらあやしげな自己啓発の教育を受けている。このリッチでちょっと可愛げの
ある、それでいて落ちこぼれ(?)のニッキーとサムが、まず窃盗団メンバーだ。

そして、1年間の自主学習を経て新しい学校へ転入したばかりのマーク(イズラ
エル・ブルサール)。疎外感を抱いている彼に、気安く声をかけるのがレベッカ
(ケイティ・チャン)で、二人はファッションやブランドの話題で意気投合する。
この二人とクラブで出会うクロエ(クレア・ジュリアン)に、ニッキー、サムが
加わり、恐るべき「キラキラ輝く」ティーンエイジャーの窃盗団となるわけだ。

ブリングリング 

まず最初に侵入を果たして、彼女らが「味」を占めるのがパリス・ヒルトンの
邸宅。インターネットでヒルトンの不在を確認し、周辺の様子を調べて出向く
のだが、正直これほど易々と侵入されてしまうセレブ宅というのにも驚く。
アメリカにも日本のSECOMやALSOKのような警備会社はあるはずですが。

ネットを使った調べはマークの役目ですが、高級ブランド品を欲望のままに
持ち去るのはニッキーやレベッカら娘たちが主導しています。そして、その
「戦利品」を身につけ、写真撮影してFacebookにアップしていくわけで、
まさに恐れを知らぬ「ノー天気」な娘たちとプラスワンといったところです。

それにしてもファッション感覚にあふれた映像と音楽に彩られたこの映画。
少女たちの意識と同じように「犯罪」映画とは、ほとんど感じられない。それ
に実際の被害者パリス・ヒルトンが撮影に自宅を提供し、豪華なインテリアや
ブランド品も披露しているわけで、ハリウッド・セレブの思考もわかりません。

逮捕後も有名人気取りの「ノー天気」な娘たちですから、このエマ・ワトソン
やタイッサ・ファーミガが自分たちを演じた映画を見たら、また大きな勘違い
をするのではないか。常識人(?)の私はちょっと心配になる作品です。

(2013年、監督・脚本/ソフィア・コッポラ、原作/ナンシー・ジョー・セールズ)
ブリングリング