「午前十時の映画祭」で『裏窓』(1954年)を見て、あらためて
その映画の面白さを堪能したので、同じくジェームズ・スチュ
アート主演のアルフレッド・ヒッチコック監督の映画『めまい』
(1958年)をツタヤで借りてきた。共演はキム・ノヴァク。

めまい ヒッチコック ヒッチコック監督

主人公は元刑事のジョン・ファーガソン(ジェームズ・スチュアート)。
屋上で犯人を追跡中に、同僚が墜落死したことで高所恐怖症になり
警察を退職していた。そんな折、学生時代の友人から、不審な行動
をする妻マデリン(キム・ノヴァク)の追跡調査を依頼される。 

彼女は出会ってもいない曽祖母カルロッタにのり移られたかのように
街を徘徊するのだが、曽祖母は最後は自ら命を落としているという。
友人の依頼を受け、マデリンの尾行をはじめるジョン。海に身を投げ
た彼女を救ったことから、次第に二人は気持ちを通わすようになる。

めまい 

ジョンはマデリンを何とか救おうとするが、彼女が夢に見るという
スペイン風の村の教会へ出かけた際に、いきなり鐘楼にかけ登る
彼女をジョンは高所恐怖症のために追うことができない。そして、
マデリンは鐘楼の頂上から飛び降りて自殺してしまう。


守るべきヒロインが意外にあっさり亡くなってしまうのだが、この
映画はどちらかといえば、ここからが本題。彼女を死なせた自責
の念で精神的にまいってしまうジョン。マデリンの面影を求める
彼は、街角で偶然、彼女と瓜二つの女性ジュディに出会う。

今でいえばストーカーのごとくジュディに近づき、やがて付き合い
始めると、洋服も髪型もすべてマデリンと同じにするよう要望する
ジョン。このあたり、やや変態チックな趣きのある映画でもある。

めまい

映画の中で、これもあっさりネタはばらされているが、マデリンと
ジュディは実は同一人物なのである。ジュディは最初は彼をだま
した負い目もあったろうが、次第に真剣に愛し始めるようになる。
しかし、最後に唐突で皮肉めいたエンディングが用意されている。


映画の中で抱擁する二人の周囲をカメラが回る撮影や、床が
落ちるような高所恐怖症の「めまい」のショットなど、映像的にも
ヒッチコックらしさが楽しめる作品だ。今でいうところの「CG映像」
のようなジェームズ・スチュアートの画像処理も興味深い。

めまい  

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