1980年代から90年代にかけては、あまり映画を見ていない。
就職した、結婚した、子供ができた、暇がない、、、今振り返ると
どれもテキトーな言い訳だ。要は映画を見る気がなかったのだ。
それでも82年頃までは、少しは映画館通いをしている。
その中で、個人的な好みでいえば外国映画の「ベスト3」に入る
作品が、ジョン・カサヴェテス監督の『グロリア』(1980年)だ
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ジョン・カサヴェテス監督はハリウッド・システムに背を向け、
ニューヨークを拠点に活躍したインディペンデント映画の旗手
のようだが、残念ながら私は『グロリア』以外を見ていない。
物語は、組織の金を横領し情報を売っていた「会計」の一家が
殺されることから始まる。生き残った少年フィルを、偶然預かる
ことになるのが主人公のグロリア。証拠の手帳を取り戻すため
二人を追跡する組織。二人は必死の逃避行をはじめる、、、
まず決して美人ではないが、中年のグロリアの造形がいい
演じているのはカサヴェテス夫人であるジーナ・ローランズ。
ニューヨークの街を駆けめぐり、危険が迫れば反撃もする。
そのガンさばきも鮮やかで、立ち振る舞いも凛としている。
カサヴェテス監督にとっては、ニューヨークの街中での撮影は
お手の物なのだろうが、その映像もこの映画の魅力のひとつ。
個人的には、タイトルクレジットが終わった後のニューヨークの
夜景の空撮。流れるビル・コンティの音楽。この導入部分から
ゾクゾクするような期待感がわき起こってくる。
物語の展開としては、墓地を待ち合わせにしたエンディングは
「想定内」の結末とはいえ、実に鮮やかな描き方で、これもいい
やはり「いい映画」というのは、オープニングで気持ちを捉え、
エンディングでは記憶に刻むほどに印象を深めるもの、と
あらためて感じ入った映画が、この『グロリア』なのである。
ちなみに90年に『ニキータ』を撮ったリュック・ベッソンが
アメリカに渡り、ジャン・レノ主演で撮った『レオン』(1994年)
は、この『グロリア』が原型になっているともいわれる。
レオンとマチルダ(ナタリー・ポートマン)の「男・女」を
入れ替えると、この映画のグロリアとフィルの関係になる。
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