6月になってからの岐阜・柳ケ瀬のロイヤル劇場での企画上映、タイトル「華やかな容姿 確かな演技力 岡田茉莉子特集」のもと、2週目に上映されたのは木下恵介が監督した『今年の恋』。木下作品の劇場鑑賞の機会は貴重なので岐阜まで出掛けました。
主演はもちろん当時売り出し中の岡田茉莉子。そして新東宝から松竹に移籍してきたばかりの吉田輝雄が相手役を務めています。また、『永遠の人』(1961年)で高校在学中に本格的な俳優デビューを果たした田村正和が、本編でも吉田輝雄の弟役として再び木下監督に起用されています。劇場はロイヤル劇場(料金は一律600円)。
高校生の山田光(田村正和)と相川一郎(石川竜二)は仲が良いツレ。そして成績も二人とも同じくらいに良くない。一郎の家は銀座の「愛川」という料理屋で、父の一作(三遊亭圓遊)は職人気質でお人好しであり、母のお紋(浪花千栄子)も亭主と同じタイプ。そのため一郎の“監督”は姉の美加子(岡田茉莉子)の役割になっている。
美加子は「愛川」の美貌の看板娘。持ち込まれる縁談話には耳もかさず、何よりも一郎の“監督”に一生懸命。彼女は弟の成績不良の原因は、付き合う友達が悪いと思い込んでいる。そして一郎の友達の光の家でも、家族の“思い込み”は似た状態。![]()
横浜にある光の家では、秀才でハンサムな大学院生の兄・正(吉田輝雄)と出戻りの婆や(東山千栄子)が、いつも口うるさく光を説教している。父の良平(野々村潔)はすべてに鷹揚で話がわかる人物だが、ヤモメになってからは自宅には不在がち。
そんなある日、兄の正は友人の女性に一方的に求婚され、彼女の一人合点を納得させようと「愛川」の座敷を使います。そこには弟の“悪友”の家を偵察する目的もあったのですが、美人の美加子を見た途端に完全に心を奪われてしまう。その“ひと目惚れ”状態に呆れた女性からビールを浴びせられ、それを美加子に目撃されてしまう。![]()
数日後、一郎の成績不良のことで、美加子が学校へ呼び出された時、同じく呼び出された正とバッタリと再会。そこで正が“悪友”の兄だと初めて知ることになる美加子。さらに父の良平が愛人の女性を連れて「愛川」にやって来た折に、美加子と話合おうとした正が鉢合わせ。“あきれた家族”と思う一方で、美加子の気持ちにも変化が…。
やがて光が家に戻らない失踪事件が起きたことで、美加子と正の関係が急接近することになる…。この映画をジャンル分けすれば、間違いなく“ラブコメ”なのでしょうが木下監督の作品にこんなに“お目出度い”映画があることを知りませんでした。畳みかけるような速いセリフのやり取り、シナリオも木下監督の手によります。![]()
(1962年、監督・脚本/木下恵介、撮影/楠田浩之、録音/大野久男、照明/豊島良三、美術/梅田千代夫、編集/杉原よ志、音楽/木下忠司)




























