世の大部分の医療法人の定款では、理事長の選任について「理事長は理事の互選で選任する」となっています。

医者同士(理事同士)の都合を考慮して、実務的な便宜のために、これを「理事長は理事の中から社員総会が選任する」に変更できないかを探るため、厚生省・某県庁と電話で話しましたが、結論として、理論的にはともかく、実務的に難しいと思いました。



すなわち、

厚生省との電話では、上記変更は医療法上、理論的には可能であるが、医療法人の場合、定款の変更は県庁の承諾が必要であり、理解が得られるかは県庁の担当者次第ではないかとの回答を得ました。


一方で、某県庁は、定款を変更する理由を検証してから考えるが、医療法上、理論的に難しいのではとのことでした。

某県庁のおっしゃる理論は私には理解不能でしたが、いくら説明しても、某県庁の快い承諾は得られにくいと実感した次第です。



理論の当否はさておき、厚生省の方の印象は、力みはなく、ソフトでものわかりがよいものでしたが、県庁の方は、仰ることがわかりにくいうえに、横柄で理屈っぽくて、10分も話していたら、疲れて気持ちが悪くなりました。

この差は許認可の有無にあります。許認可の権限がない厚生省は力みがなく、ニュートラルなのに対し、許認可の権限がある県庁は、前例踏襲主義・懐疑的です。


許認可の権限というのは、官僚の方の責任感やモチベーションを高めるといういい面もあるのかもしれませんが、一方で、許認可の権限を握るということは人間の心に傲慢さ・ひいては馴れ合い・癒着・不正という負の面ももたらすものであると実感しました。






本日の日本経済新聞5面記事

介護や保育などを手掛ける社会福祉法人の8割が1億円以上の金融資産を持つことが、みずほ証券のアンケート調査でわかった。うち半数の4割は5憶円以上を保有する。以下省略。

個人的に社会福祉法人には興味があるので、こういう記事が目につきます。

そもそも社会福祉法人に興味をもった理由は

・仕事上たまたま社会福祉法人の決算書を見ることがあるが、営利社団法人(株式会社)より財政状態が著しく良いことが多い。所沢市のようなベットタウンでは社会福祉法人より財政状態のよい規模が大きい営利社団法人(株式会社)はあまりないのではないかと思えます。

・補助金が手厚い。設立時に建設資金として〇億円、その後存続する限り毎年◎千万円の補助金が手に入る。

・そのくせ市や県の管理・監督は甘く、経営者である理事長に対するガバナンスが効いていない。

社会福祉法人の経営の本を読むと、昔より経営環境は厳しくなった。今後は経営の合理化が求められる・・・という趣旨の主張が多いように思います。社会福祉法人を顧客先に持つ私の知り合いの税理士に経営実態を聞いても、昔は良かったが今はあまり良くないとも聞きます。

今回の日本経済新聞の記事は、社会福祉法人の実態を把握の情報として興味を持ちました。

つい最近、いつだったか日本経済新聞の1面で、厚生労働省が社会保険の加入を厳格化する旨の記事が掲載されました。

時を同じくして、年金事務所からお客様である中小企業への呼び出しが以前より厳しくなっているように思います。

特に従業員が10名程度で社会保険に全く加入していないお客様

また、常勤正社員の3/4以上勤務していながら、社会保険に加入していないパートの方がいるお客様

は、厳しい指摘を受けるのではないかと冷や冷やしています。

社会保険の財政状態も厳しいようなので、この動きは今後大きくなると思われます。

それにしても、年金事務所からの呼び出しに対応するのは、事業者(社長)あるいは社労士に限らず、給与計算がわかる方ならば(会計事務所も含め)誰でもよいという社会保険事務所の電話回答には驚きました。

税理士資格がない方には税務署への対応はできないですし、ニセ税理士は逮捕されることさえあるのとは対照的です。