久しぶりの更新です。山形暮らしも一ヶ月近くになりました。これだけの期間、故郷にいるのは高校卒業以来38年ぶりのこと。昨日は東根にある、高校の同級生・後藤明くんが経営する人気の中華料理店「心風亭」に同級生や地元のファンの方々と集い、楽しいひと時を過ごしました。そこで何度か聞いた言葉。

 

「最近はみんな言葉がキレイになっちゃって」

 

「あの人は、言葉がキレイだから」

 

確かに、僕が地元にいたときは、こういう言い方をよくしてた。つまり、

 

「〇〇ちゃんは、お母さんが東京の人だから、言葉がキレイだね」

 

とか、

 

「〇〇くんも、東京の大学へ行って、すっかり言葉がキレイになったね」

 

などと言ったものだ。

 

東北弁は「ず」とか「んだ」とか、濁点のつく音が多いから、まぁ、その濁点がなくなれば「キレイになった」ということか。東北~北関東のいわゆる「訛った言葉」は、単に標準語が訛ったものではなくて、「元々はアイヌ語から来た別の言語である」ことは金田一春彦先生も著書の中ではっきりと書いている。しかし未だに、東北弁というと、

 

「寒くて口を開けるのが面倒だから、ちゃんと標準語を発音出来なくなってしまった人たちのコトバである」

 

との俗説がまかり通ってしまっている。現在の「標準語」は、明治時代に政府主導で、バラバラだった全国のコトバを統一し、言文一致を推し進めるために「作られた」ものである、と言われている。その、新しい言葉を東北の人がうまく言えずに、いわゆる「訛り」になってしまったものもあるだろうが、元々は「違う言語」なのである。ここが、関西弁などと違うところである。関東の人間がかなりディープな関西弁を聴いても、

 

「全く理解出来ない」

 

という事はないが、

 

僕が「かえずのながさはえずばへっで」で歌ったような、ディープな山形村山弁は、他県の人には全くわからない外国語なのだ。

 

 

長らく、中央の政治権力とは関係なく独自の文化を築いてきた東北の人たちはかつて「蝦夷(えみし)」と呼ばれ、中央の人たちから言われなき差別を受けて来た。「東北人であることは、恥ずかしいことである」「東北弁は汚い言葉だ」とされて来た。その結果、山形県に関しては、今の40歳以下の世代は、ほとんど山形弁を喋らなくなってしまった。20代以下に関しては、東京、神奈川の子と全く区別がつかないほどだ。長い歴史を持つ山形弁が、今その幕を閉じようとしている。

 

関西でよく聞くセリフがある。「関西以外の人が、エセ関西弁を使うと、ものすごくイヤだ」というものだ。この気持ちはよくわかる。東北人も同じだ。

 

ウクレレレッスンをやっていた頃、

 

「東北弁で演歌を歌ってみたい」

 

というリクエストをいただいた事がある。その生徒さんは、時々参加しているウクレレの集まりで「東北弁で演歌を歌ったら、ウケると思うので」との事だったが、僕は、

 

「もしそこに、一人でも東北生まれの方がいらしたら、面白おかしく東北弁を扱われて悲しい気持ちになると思うので、人前で笑いを取るために付け焼き刃の東北弁で歌うことはどうかやめて欲しい」

 

と丁重にお断りした。このニュアンスは、東北生まれの方にはよくわかっていただけるのではないかと思う。逆に言うと、標準語圏で生まれ育った人には分からないのかもしれない。

 

方言は僕たち地方出身者にとって、故郷そのものだ。

ご先祖様達がずっと喋ってきた大切なものだ。

 

その大切な宝物を、

 

「人前で、誰かに笑われるためにだけに教える」

 

わけにはいかない。

 

方言とは「そこで生まれ育ったという証」である。

 

山形の人たちよ、

山形弁を「汚い」と表現するのを

今日からやめんべ!

 

「〇〇ちゃんは、お母さんが東京の人だから、言葉がキレイだね」

 

って言いたいときは、

 

「お母さんが東京の人だから、言葉が標準語っぽいね」

 

って言えばいいし、

 

「〇〇くんも、東京の大学へ行って、すっかり言葉がキレイになったね」

 

は、

 

「東京の大学へ行って、すっかり山形弁が薄くなったね(ルーツから離れていったね)」

 

と言えばいい。

 

最後に、秋田出身で、ディープな秋田弁で歌う偉大なシンガー友川かずきさんの名台詞を。

 

「友川さんはもうずっと川崎に住んでるとお聞きしましたが、どうして標準語に直さないんですか?」

 

「……直さねんでねぇ!!俺は、くだらねぇモノには影響されねぇようにしてるだけだ」

 

カッコいいね、友川さん。

 

 

ルーツなき表現は深みにたどり着くことはできず、

 

ルーツに繋がらない生き方は迷いを生む。

汚ぐねぇぞ、オラだのコトバ!

 
7月7日の山形新聞に掲載されたインタビュー記事です。
 

 

 

関東でもレコ発ライブをやります。MCは基本的に標準語でやりますので(笑)、

ご安心ください。僕が喋る山形弁を笑ってもらっても、全然オッケー!なんです。

どうぞ、笑って楽しんでもらいたいです。

 

 

【Music Gifts 山口岩男ニューアルバム『山形魂』発売記念ライブ in 埼玉】

 

2019/08/31(土)

西川口LIVE HOUSE Hearts

〒332-0034  

埼玉県川口市並木2-10-25

http://hearts-web.net/hearts/

 

OPEN 17:30 START 18:00

 

前売 5,000円 1ドリンク代別(600円)

当日 5,500円 1ドリンク代別(600円)

 

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主催/LIVE HOUSE Hearts

 

後援/エフエムナックファイブ