いつも悩んでることがある。

そしてそれは、人に聞くと「悩むこと自体がおかしい」と断じられる。
でも解らないのだ。
 
他人の身体的欠点をバカにしてはいけない。それは当然である。
一方で、「ネタとして弄る」「バカにする」相手がオイシいと感じるか不快に感じるかの違いで決められるものであり、行為そのものは客観的に見分けがつきにくいものである。
相手にジョークとして通るか微妙な場合はそもそも余計なことは言わないのが常識で、往々にして「黙ってる」が日常では選択されている。
しかし、この「黙ってる」という行為自体が相手にある種の情報を与えている場合もある
 
 
例えば、俺がハゲだったとしよう。
もうどっからどー見ても立派なツルッ禿という設定だ。(実際は違うぞ)
 
多くの人は、何も言わないと思う。俺がこのハゲを気にしているかどうか判らないうちは何も言わない方が無難だし、統計的に見ても世には自身のハゲを気にしている人が多いからである。
しかし。歴然たる事実が自分の頭部に備わっている以上、相手に見えてないわけでは絶対にないことも自分にはよく解っている(ここ重要)。
気づいているけど触れないでいてくれる────これで俺が安心するかといえば実は逆である。
そう、つまり相手にとってハゲは紛うことなき「恥ずべきもの」なのだということが確定するからである。「ハゲは欠陥だから」「あれは洒落にならんと思ってるから」、口に出さない。出せない。
相手が無関心な表情の裏で実は内心哀れんでいるという事実を、黙っていてくれることでむしろ突きつけられるのだ。
 
 
 
以前日記のネタにした我が社伝説の最強事務員ムラカミさん
彼女の奔放な豪傑っぷりは、相手を選ばない――歯に衣つけぬその言動にある。彼女なら、会った瞬間に大笑いで肩を叩いてくると想像できる。
「ぎゃははは!どーしたのそんなにハゲ散らかしてー!」
多分、俺は内心ホッと救われたような気がして笑いながらこう返すだろう。
「やかましい!俺は整理整頓されたハゲなの!」と。
 
ここでのポイントは、彼女が全く臆する様子もなく「ハゲ」を口にできる理由である。
純粋無垢なる鈍感(こっちの方が確率高そうだが)、もしくは彼女にとって「ハゲ」が「全く気にすることではない(=欠点でも何でもない)と思ってるから」のどちらかだと思われる。
前述の理屈から、俺は概ね後者と採る。もしそうならば、それは大変ありがたいことではないか。
 
会ったその瞬間からハゲを弄ってくる女性がいたら、傷付いてる場合じゃない。むしろ彼女は脈アリなのだ。
なぜなら彼女にとってハゲは「減点要素」ではない可能性が高いからだ。
 
 
 
 
 
 
 
ヨメ「・・・・・・・でさ、結局貴方は何に悩んでたわけ?」
 
俺 「あ、つまりね?あからさまにハゲてる人がいた場合、見えてるのにスルーするのはかえって失礼な気がするからここはイジるべきなのかどうかと
 
ヨメ「いやそこはやっぱり黙っとけよ」
 
俺 「はい」
 
 
 
 
 
――ここでふと気づくのである。
 
(・・・あ、”私は気にしないんだけど、本人が気にしてるかもしれないから触れないでおこう”という思いやりのケースもあるか)
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てか、大半がソレやろ。